「急いでも一日はかかる。明後日取りに来てくれるかい?」
「いいぜ」
「急なもんでサイズは微妙かもしれないけど、今のよりはいいと思うよ。とりあえず着替えて。少しはよくなったからって、早まって殺しにいかないで?」
野々宮は代わりの、衣類一式を渡す。
「分かったよ。そんなに急いでいるように見えるのか」
ヴォーグは苦笑すると、目で退室を促す。
野々宮は無言で店の奥から出る。
しばらくすると、着替えをすませたヴォーグが顔を出す。
「だいぶいい。さっき着ていたものがどれだけ酷いか、よく分かった」
苦笑しているだけなのに、美しさがありすぎて困る。
女達がそれに見惚れて、手が止まるほどであった。
「とりあえず、服が仕立終わるまで、それで頼むよ」
――褒められるのは、嬉しいけど。
という言葉は恥ずかしかったので、言いはしない。
「おう。じゃあ、調べの方を進めて、この男達でいいかの確認をしにくる」
ヴォーグは片手を上げると、店を出ていった。
「ほらほら、いつまで手を止めてるんだい? 喋ってもいいから、動かしな」
女達はハッとして、作業を再開する。
――男が苦手なんだろうと思っていたけど、見惚れるくらいはあるのかね。
野々宮はつい苦笑する。
「姐さんはあの人、どう思いました?」
興味津々といった顔で、女達が目を輝かせている。
「わたしかい? そうだねぇ……。あんなに暗いというか、闇そのものみたいな、とても暗い雰囲気を持った男は、初めてだよ。そこいらにいる男達とは、なにかが決定的に違うかもしれない」
野々宮は顎を指でつまみながら、思ったことを口にする。
「姐さんは、見た目より中身を見てるのかしら? 見惚れたりしないんですか?」
「あんなにいい男、嫌でも印象に残っちまうだろ。見惚れない女なんていないだろうさ。ただ……」
野々宮は難しい顔をする。
「ただ……?」
「それを聞きたきゃ、手を動かしな。じゃなきゃ話さないよ?」
キッと女達を睨むと、慌てて手を動かし始める。
「動かすから! 話してください!」
「まったく。手は動いてるようだから、話を続けるよ」
「はい!」
女達は目を、キラキラさせている。
「たった一人の男がなんで、あんなにも、深い闇みたいなものを抱えてるのか。殺気もあったけど、その裏に深いなにかがある気がする。それと、あの人は正真正銘の戦う者だ。あんた達、あの人は本当に、人を殺してくるかも。そうなったら、耐えられるのかい?」
野々宮は、鋭い視線を向ける。
「そんなふうに見ていたんですね。さすがです。傷つけられたのは確かに辛かったです。でも、もう死んでくれた方が、清々するっていうか。怯えて生きる方が嫌なので。姐さん、心配してくれて、ありがとうございます」
「いいぜ」
「急なもんでサイズは微妙かもしれないけど、今のよりはいいと思うよ。とりあえず着替えて。少しはよくなったからって、早まって殺しにいかないで?」
野々宮は代わりの、衣類一式を渡す。
「分かったよ。そんなに急いでいるように見えるのか」
ヴォーグは苦笑すると、目で退室を促す。
野々宮は無言で店の奥から出る。
しばらくすると、着替えをすませたヴォーグが顔を出す。
「だいぶいい。さっき着ていたものがどれだけ酷いか、よく分かった」
苦笑しているだけなのに、美しさがありすぎて困る。
女達がそれに見惚れて、手が止まるほどであった。
「とりあえず、服が仕立終わるまで、それで頼むよ」
――褒められるのは、嬉しいけど。
という言葉は恥ずかしかったので、言いはしない。
「おう。じゃあ、調べの方を進めて、この男達でいいかの確認をしにくる」
ヴォーグは片手を上げると、店を出ていった。
「ほらほら、いつまで手を止めてるんだい? 喋ってもいいから、動かしな」
女達はハッとして、作業を再開する。
――男が苦手なんだろうと思っていたけど、見惚れるくらいはあるのかね。
野々宮はつい苦笑する。
「姐さんはあの人、どう思いました?」
興味津々といった顔で、女達が目を輝かせている。
「わたしかい? そうだねぇ……。あんなに暗いというか、闇そのものみたいな、とても暗い雰囲気を持った男は、初めてだよ。そこいらにいる男達とは、なにかが決定的に違うかもしれない」
野々宮は顎を指でつまみながら、思ったことを口にする。
「姐さんは、見た目より中身を見てるのかしら? 見惚れたりしないんですか?」
「あんなにいい男、嫌でも印象に残っちまうだろ。見惚れない女なんていないだろうさ。ただ……」
野々宮は難しい顔をする。
「ただ……?」
「それを聞きたきゃ、手を動かしな。じゃなきゃ話さないよ?」
キッと女達を睨むと、慌てて手を動かし始める。
「動かすから! 話してください!」
「まったく。手は動いてるようだから、話を続けるよ」
「はい!」
女達は目を、キラキラさせている。
「たった一人の男がなんで、あんなにも、深い闇みたいなものを抱えてるのか。殺気もあったけど、その裏に深いなにかがある気がする。それと、あの人は正真正銘の戦う者だ。あんた達、あの人は本当に、人を殺してくるかも。そうなったら、耐えられるのかい?」
野々宮は、鋭い視線を向ける。
「そんなふうに見ていたんですね。さすがです。傷つけられたのは確かに辛かったです。でも、もう死んでくれた方が、清々するっていうか。怯えて生きる方が嫌なので。姐さん、心配してくれて、ありがとうございます」
