「だから、身体に晒し木綿が巻かれてるの?」
男はただうなずく。置いていたリヴォルバーを、腰に収めた。
「おやおや」
野々宮が視線を感じて振り返ると、女達が興味津々といった顔で覗いていた。
「俺は男で、暗殺者だが。お前達を殺すことも、傷つける気もない。お前達からすれば、男など全部敵に見えるだろうが、敵でない者もいる。必要ならば、面倒な男達の、抹殺を引き受けるが? 今回は金の要求をしない。あくまで、お前達に安心してほしいだけなんだよ」
男は少し優しい声で言う。
その言葉を聞いた女達は、顔を見合わせなにやら話している。
じっと待っていると、女が声を出す。
「その話、本当? なら、みんな一人ずつ殺してほしい人がいるんだけど」
「嘘は言わん。名前だけ教えてくれ。それだけで大体場所は絞れる」
「なんだって⁉」
野々宮が目を剥く。
「この稼業を始めて長いからな。情報網くらい存在するんだよ」
男はつい苦笑を浮かべる。
「えーと名前は……」
ぽつぽつと言われた、五つの名前を記憶した男。
「分かった。昼も含め、近い者から殺していく。早い方がいいだろうからな」
「ちょいと待ちな。そんなスーツで、いくんじゃないだろうね?」
野々宮が口を挟む。
「そのつもりだが?」
なにを言っているんだ、と言わんばかりである。
「あんた達、仕事の時間だよ。怖いだろうけれど、ここまで言ってくれてんだから、この恰好でいかせるわけには、いかないよ」
「……はい」
女達は怯えながらも、奥から出てきた。
「名前くらい、教えてくれないかい?」
「俺はヴォーグ・ホーエンツォル。長いからヴォーグでいい」
「わたしは野々宮だよ。どんな衣装がいいんだい?」
「ネクタイのないダークスーツ。黒の革靴。足首まででフードがついたロングコート。それと指ぬきのグローブ。黒系で統一してくれると助かる」
「コートは、鉄黒なんてどうだい?」
野々宮の問いにヴォーグは目を丸くする。
「それは色なのか……?」
「こんな感じの色なんだけど。ちなみに黒はこっち」
野々宮は鉄黒と、黒の生地を持ってきて見せる。
「微妙に違うんだな。俺の好みではある」
ヴォーグはふむと、うなずく。
「コートは鉄黒で、それ以外は黒でいいかい?」
「構わねぇよ」
「採寸と手袋のサイズも知りたいから奥へ」
「おう」
立ち上がったヴォーグを見て、野々宮はあらためて、背が高いなと思った。
奥の部屋に通されて採寸している間に、晒し木綿の巻かれた引き締まった身体を見た。この人は本当に、戦う者だと実感した。
「念のため、晒し木綿巻いても大丈夫なように仕立てる。しっかりした生地で作るから、今のみたいに、破れることはないはず」
「助かる。どれくらいでできる?」
男はただうなずく。置いていたリヴォルバーを、腰に収めた。
「おやおや」
野々宮が視線を感じて振り返ると、女達が興味津々といった顔で覗いていた。
「俺は男で、暗殺者だが。お前達を殺すことも、傷つける気もない。お前達からすれば、男など全部敵に見えるだろうが、敵でない者もいる。必要ならば、面倒な男達の、抹殺を引き受けるが? 今回は金の要求をしない。あくまで、お前達に安心してほしいだけなんだよ」
男は少し優しい声で言う。
その言葉を聞いた女達は、顔を見合わせなにやら話している。
じっと待っていると、女が声を出す。
「その話、本当? なら、みんな一人ずつ殺してほしい人がいるんだけど」
「嘘は言わん。名前だけ教えてくれ。それだけで大体場所は絞れる」
「なんだって⁉」
野々宮が目を剥く。
「この稼業を始めて長いからな。情報網くらい存在するんだよ」
男はつい苦笑を浮かべる。
「えーと名前は……」
ぽつぽつと言われた、五つの名前を記憶した男。
「分かった。昼も含め、近い者から殺していく。早い方がいいだろうからな」
「ちょいと待ちな。そんなスーツで、いくんじゃないだろうね?」
野々宮が口を挟む。
「そのつもりだが?」
なにを言っているんだ、と言わんばかりである。
「あんた達、仕事の時間だよ。怖いだろうけれど、ここまで言ってくれてんだから、この恰好でいかせるわけには、いかないよ」
「……はい」
女達は怯えながらも、奥から出てきた。
「名前くらい、教えてくれないかい?」
「俺はヴォーグ・ホーエンツォル。長いからヴォーグでいい」
「わたしは野々宮だよ。どんな衣装がいいんだい?」
「ネクタイのないダークスーツ。黒の革靴。足首まででフードがついたロングコート。それと指ぬきのグローブ。黒系で統一してくれると助かる」
「コートは、鉄黒なんてどうだい?」
野々宮の問いにヴォーグは目を丸くする。
「それは色なのか……?」
「こんな感じの色なんだけど。ちなみに黒はこっち」
野々宮は鉄黒と、黒の生地を持ってきて見せる。
「微妙に違うんだな。俺の好みではある」
ヴォーグはふむと、うなずく。
「コートは鉄黒で、それ以外は黒でいいかい?」
「構わねぇよ」
「採寸と手袋のサイズも知りたいから奥へ」
「おう」
立ち上がったヴォーグを見て、野々宮はあらためて、背が高いなと思った。
奥の部屋に通されて採寸している間に、晒し木綿の巻かれた引き締まった身体を見た。この人は本当に、戦う者だと実感した。
「念のため、晒し木綿巻いても大丈夫なように仕立てる。しっかりした生地で作るから、今のみたいに、破れることはないはず」
「助かる。どれくらいでできる?」
