冷酷無情な射手の吸血鬼に救われた、人として生きることを諦めた娘

 それから数日が過ぎ、ぽつぽつと話をしていく二人。
 他愛のない話を続け、お互いに少しずつ距離を近づけつつあった。
 
 そんな中、診察を受ける日になったので、数日ぶりに外へ。
 坂埜の許を訪れ、二人はそれぞれ診てもらうことに。
 ヴォーグの傷は治ったとの言葉を受け、彼は息を吐き出した。
 優月の方はよくなりつつあるが、まだ歩いてはダメだと言われる。
 
 その帰り道、優月が呟く。
「まだダメかぁ。そんな気がしてたけど、ちょっと落ち込む」
「治りつつあるってことを、喜んでおけばいいんだよ。落ち込む必要はない」
 苦笑を浮かべたヴォーグが、歩きながら言う。
「そう?」
 優月がヴォーグの顔を見上げて、首をかしげる。
「ああ。きっともう少しだと思うぞ」
 足を止めたヴォーグは、優月をまっすぐに見つめる。
「そうだといいわね」
 再び見上げた優月は、しかめっ面をしたヴォーグを見つめて、なにかあったのかと察して黙る。
 
「なんの用だ?」
 この時代故か、馬車まで用意しているのを睨みながら、言い放つ。
「そちらの抱えているお嬢さん、こちらに引き渡してもらえませんか?」
 中から洋装の中年男が出てきて、物腰柔らかに言う。
「断る。伏兵含めて全員立ち去れ」
 ヴォーグが、にべもなく言い放つ。
「少々強引でも仕方ありませんな」
 その声とともに、二人の男が飛び出してきたが、瞬時に跳躍して躱すヴォーグ。
「あたしは、大丈夫だから! 下ろして、戦って!」
 優月の小声を信じ、ヴォーグは屋敷の影に優月を下ろす。
「念のため、耳を塞いでいろ」
 その一言だけを残し、ヴォーグは駆け出した。
 
「おや? どこかに隠しても無駄ですよ? 我らの目を舐めてもらっては困る」
「舐めちゃいねぇよ。手早く終わらせるに限るだけさ」
 ヴォーグは右手にリヴォルバーを構え、五回撃った。
 その場にいた男達が、頭を撃たれて即死。
「引きつけている間に、探すのです!」
「聞こえてるぞ」
 ヴォーグは探そうとしていた男二人を、血祭りに上げる。
 左手で弾込めを瞬時に終えると、洋装の男を睨みつける。
「馬車を回してください!」
「逃げるのか?」
 馬車に飛び乗ったヴォーグだったが、なにかを積み込んでいるのを確認。袋がもぞもぞと動いていたことから、馬車から飛び降りて、優月を置いた場所へ。
 優月の姿はなかった。いくら探しても、彼女はいない。
「ちっ!」
 優月を奪われた。どこの連中かも分からないが、馬車が逃げていった方向が足取りになっているはずだと思い、ヴォーグはそのまま駆け出した。
 
 優月はそのころ、目の前にいる洋装の男に警戒心を剥き出しにしていた。
 手は縛られ、口も塞がれている。文字通りなにもできなかった。