苦いお酒と甘いジュース



「乾杯~!」

ざわざわとした店内に、カチンとグラスの音が響く。

ごくごくと飲んでいる周りの友達に囲まれて、私はオレンジジュースに少しだけ口をつけた。

「もう、二十歳か~」

しみじみと言いながら、目の前に座るひなのはまたお酒に口をつける。

「…なの、おっさんみたい」

「ちょっと、こっくん。何でそんなこと言うの~」

じとっとした目で穀人くんはひなのを見つめる。ひなのは穀人くんを軽く叩いた。




ーーあれ?二人ってそんな感じだったっけ?




もう肩、触れそうじゃん。

「こっくん、何食べてるのー?」

「タコの唐揚げ。美味しいよ。なのも食べる?」

「うん!もらう~」

ひなのは穀人くんが差し出したタコの唐揚げを一つとって食べた。

「美味しー!」

「でしょ」


パチッと穀人くんと目があう。


「むぎなちゃんもこれ食べる?」

「…うん、食べる!」

私は穀人くんからお皿を受けとると、そのまま一つとって食べた。

「…美味しい」

じゅわっとした油と歯ごたえがあるタコ。何個でも食べられそう。

パッと顔をあげると、穀人くんはもう、私を見てはいなかった。


私のそばに置かれたタコの唐揚げは、もう誰にも取られることはなくて、私がもう一度食べたときには、冷めていた。