あやかしを慈しむ娘は不器用なマッドサイエンティストの愛に守られる

 頭を撫でられる感触に、那河の中から力が抜けた。温かく優しい手触りがささくれていた心を癒していく。

「福の神はきれいなところが大好きで
 疫病神は汚いところが大好きで
 だからきれいにいたしましょう」

 歌詞も旋律も野暮ったい。だからこそ朴訥(ぼくとつ)と心に沁み入っていく。

 ああ、この人だ。この人だったんだ。
 那河は必死に耳を澄ませる。

 どうして俺は間違えた。どうして……。

 那河は優凪を見ようとする。
 が、視界は暗くなるばかりだ。

「あり、が……」
 最後まで言葉にできず、世界は真っ暗に、閉じた。

***

 那河の目から光が消え、胴体が暴れるのをやめた。
 優凪は最後にもう一度彼の頭を撫でてから白露に鋭い視線を向けた。

「操妖に人を襲わせるなんて」
「お父様と那河が勝手にやったのよ!」

 それを聞いた優凪はもう耐えられなかった。
 つかつかと歩いていって白露の頬を張る。
 ぱん! と乾いた音が響いて、白露は反撃しようと手を振る。が、その腕を優凪は捕まえた。

「彼はあなたのために命をかけたのよ! 邪気を帯びるとわかっていて、それでも……」
 それでも、白露のために。
 悲しくて悲しくて、優凪はつかんだ彼女の腕をぎゅっと握る。