あやかしを慈しむ娘は不器用なマッドサイエンティストの愛に守られる

「いわゆる峰打ちってやつ。よく見て」
 倒れた警官を見てみると、確かに一滴も血が流れていない。

「彼らは興奮状態だったから斬られたという思い込みが強く作用して気絶したんだよ」
「そうだったんですね」
 優凪はほっと胸を撫でおろした。

 が、白露は怒りをたぎらせた。
「那河!」
「承知」
 那河が手を上げる。
 と、あやかし舎の檻ががたがたと揺れた。

 がしゃん! がしゃん!
 那河の妖力で檻が倒され、あやかしたちが現れる。

「あいつらを殺せ」
 あやかしたちは那河を恐れ、優凪たちに向かう。邪妖化しつつあり、人を襲うことに禁忌を感じないようだ。

 時雨は優凪を背にかばい、サーベルを向ける。
 優凪は息を飲んだ。

 保護活動をしてきた彼があやかしに剣を向けるなんて。
 人を襲ったあやかしは殺処分と法律で決まっているが、本当に斬るのだろうか。それはどれほど彼を苦しめるだろう。

 そう思ったとき、彼はサーベルを地面に突き刺した。
 懐から瓶を取り出し、白い粉をばさあ! とあやかしたちに振りまく。

「帯刀様、なにを」
「大丈夫、見ていて」