あやかしを慈しむ娘は不器用なマッドサイエンティストの愛に守られる

 が、ふたりを阻むように那河が立ち塞がった。後ろには白露。
「白露様を傷付けることは許さない」
「俺も彼女もそんなつもりはない」
 時雨は優凪をかばって前に出た。

「嘘をつけ! その女は今も白露様から奪った歌を歌っていた!」
 優凪は首をかしげた。掃除の歌は母が作ったもので、白露が生まれる前から歌っている。

「お前、邪気を帯びているな」
「黙れ!」
 時雨の指摘に、那河はしゅうう、と威嚇音を発する。

「なにをしている!」
 息を切らした警官たちがどやどやとやって来た。その数、六人。

「そのふたりがあやかしを奪おうとして、私の操妖が守ってくれたの!」
 白露の言葉に、警官が優凪と時雨を取り囲む。

「違います!」
 優凪がとっさに返せたのはそれだけだった。

 遅れて、喜助が息を切らして合流する。
「釈放されたばかりでこの暴挙とは」
 警察官の四人が腰に帯びたサーベルを抜き、残りのふたりが時雨に向かう。
 このサーベルの中身は刀のこしらえだ。

「大人しく捕まれ。反抗したら斬る」
「ちょっとはこっちの言い分も聞いてほしいものだが」
 時雨の反論は黙殺され、サーベルを抜いていないひとりがとびかかる。時雨はさっとかわすと同時に彼の腰からサーベルを抜く。