あやかしを慈しむ娘は不器用なマッドサイエンティストの愛に守られる

「帯刀時雨。危険なあやかしを飼育し、反逆を企てているとの通報が入っている」
「はあ?」
「え?」
 時雨と優凪は驚きの声を上げた。

「よって、すべてのあやかしを没収、屋敷の検査を行う。やれ」
 先頭の警官が言い、警官隊が部屋へ入っていく。

「お待ちください!」
 追いかけようとする優凪の手を、時雨がつかむ。
「今は従った方がいい」

「賢明な判断ですな。帯刀さん、あなたは署で事情を聴く。この女は」
「彼女はただの女中だ。関係ない」
 思いがけず、優凪の胸は切り裂かれた。
 仲よく過ごして来て、自分が特別である気もしていた。が、あくまで主人と女中でしかなかったのだ。

「あやかしはどこだ」
 遅れて入って来た喜助に、優凪は嫌悪の目を向ける。
「伯父様が通報したのですか」

「俺はあやかしの護送に来ただけだ」
 答える声は嬉しげだった。
 優凪には喜助が仕組んだとしか思えない。縁談を手ひどく断られ、自尊心がいたく傷付いたに違いないのだから。

「丁重に扱ってくれ。ここのあやかしはすべて無害だ」
「それはこちらで決める。俺が役立ててやるからありがたく思え」
 優凪は歯噛みした。喜助はいつもあやかしを酷使している。彼らがどんな目に遭うだろう。喜助の望む能力がないとわかれば処分されるかもしれない。