あやかしを慈しむ娘は不器用なマッドサイエンティストの愛に守られる




「お化け屋敷は返上だわ」
 優凪は満足げに笑みを浮かべた。

 邪魔な木や枝は業者によって伐採され、雑草も刈られた。
 汚れていた壁も人を雇って掃除し、壊れた部分は補修された。
 もともと荒れていて安かったのをあやかし保護活動のために買ったそうで、元の姿以上になったと時雨に感謝された。

 近所の人には会うたびに褒められた。
 嫁だと誤解されて女中だと説明したが、嫁げばいいのにと言われたり、ベニーを肩に乗せていたら「極楽鳥を連れた天女かと思った」と言われたりして照れ、ベニーのように赤くなることもあった。

 散歩に出ていたベニーが飛んできて、近くの枝に止まる。
「タダイマ、ユウナギ」
「お帰り」
 彼の足には飼われている証の足輪がついている。野良のあやかしだと勘違いされると駆除される危険があるからだ。

 一緒に離れに戻ったあと、優凪は夕食の準備をしながらため息をついた。
 白露たちを追い返して二週間。
 時雨は研究所への泊まり込みが増え、悩む様子があって心配だ。

 気がかりがあれば話してほしいと申し出たが、
「なんでもないよ」
 と微笑を返された。

「私ではお役に立てませんか?」
「そうだね」
 重ねた質問は、あっさりと突き放された。