あやかしを慈しむ娘は不器用なマッドサイエンティストの愛に守られる

 カラスから助けてもらった蛇だと説明すると、白露は驚いて、それから言った。
「私ね、どんなに頑張っても優凪っていうやつに邪魔されてバカにされるの。だけどお父様もお母様も、あいつみたいになれって言うの」
 悲しげな様子に胸が痛むと同時に、仲間のあやかしにバカにされていた自分が蘇って怒りが湧いた。

「操妖の一族なんだからあやかしを従えて操れって言われてるの。だけどうまくできなくて」
「ならば侍って差し上げる。今から俺は忠実なしもべだ」
 そう答えると、白露は嬉しそうににんまりと笑った。

 白露はまったく歌わなかった。
 いつか歌っていた掃除の歌を聞きたいと言うと、彼女は顔をうつむけた。

「優凪に盗られたの。だからもう歌えない」
 那河の心に再びの怒りが満ちた。
 優凪はなんてひどいのだろうか。
 懲らしめてやりたいが、本能的に避けた。邪気が宿って自分が自分でなくなってしまう。

 優凪は掃除をするときにいつも歌う。白露に似た歌声が清らかなのが、また腹が立つ。
 今まであいつを放置したせいで、事態は悪化したようだ。決断のときはきた。

 黒ずんで来た髪を振り払い、那河は心に誓う。
 邪妖になろうとも、必ず白露の憂いを晴らして見せる、と。