あやかしを慈しむ娘は不器用なマッドサイエンティストの愛に守られる

 心地よい歌声が聞こえて導かれるように這い、もっとよく聞きたくて木に登ったら、桃色の着物を着た少女が掃き掃除をしているのが見えた。
 うっとりと聞き惚れていたら地面に落ちてしたたかに全身を打ち、見つかった。

「あやかしさん、大丈夫?」
 全身が痛くて逃げられずにいると、優しく撫でられた。
 なんとも言えず温かく、全身の痛みが引いて行く。

 くねくねと体を動かすと。
「よかった、大丈夫そうね」
 嬉しそうな声に、彼はまた体をくねらせた。

「お掃除の途中だった。蛇さん、さようなら」
 彼女が身をひるがえした、そのとき。

 ばさばさとカラスが舞い飛んできた。
 ちっぽけな自分は、彼らのかっこうの餌だ。
 だが。

「ダメ!」
 振り返った少女が、ほうきを振ってカラスを追い払う。

「あとで別の餌を上げるから!」
 少女がほうきを振り回す隙に、必死に逃げた。

 また会いたいと少女の家に行ったが、棲家を変えたらしくて会えなかった。
 探して探して探し回るうち、あのときと同じ桃色の着物を着た少女を見つけた。声も似ている。舌をちろちろと出して匂いを確認すると、やはり似ていた。彼女に違いない。

 成長して力もついていたから、彼は人の姿で白露の前に出た。
「あなたは命の恩人だ。お礼がしたい」