あやかしを慈しむ娘は不器用なマッドサイエンティストの愛に守られる


***

「どうして帰ったのよ!」
 家に着いてから、白露は父に文句をつけた。
「あんな男は忘れろ!」
 白露は唖然とした。怒鳴られるのは優凪と決まっていたのに。

「若造め、思い知らせてやる!」
 喜助はどすどすを足を踏み鳴らし、自室へと向かう。

 あいつのせいで。
 自分の部屋に戻って「那河」と声をかけると、彼は人を模した姿で現れた。

「また優凪にいじめられたの。私、いつまでつらい思いをしないといけないのかしら」
 白露は優凪がどれほどひどい女か、語って聞かせる。

 那河は怒りに顔を歪めた。
「どうぞ私にお任せください」
 那河の言葉に、白露は顔を伏せてにんまりと笑った。

***

 那河は、蛇の姿に戻って外へと這い出す。
 いつもは白露の影にひそんでいる。力の強い彼だからできることだった。今どきのあやかしはほぼ動物であり、操妖師にいいように使われるだけだ。

 那河も小さな頃は力がなく、見た目はほかの蛇と同じ茶褐色だった。
 力の強いあやかしにバカにされ、悲しい気持ちでいたときだった。