***
買い物から帰った白露は、いらいらと那河を待った。
操妖の逸材と言われる優凪は幼い頃から鼻についた。
両親には優凪より優れた操妖師になれと言われ、うまく字を書けても、うまく歌を歌えても、一族の集まりでは常に優凪が褒められていた。
いつもいつも優凪は人々の関心をさらう盗人だ。
そんなとき、那河が現れた。
彼は自分を恩人と慕い、なんでも言うことを聞いた。
両親にも親族にも白蛇を従えるなんてすごいと褒められ、得意になった。優凪がさぞかし悔しがるだろうと思ったのだが。
彼女は目をきらきらさせ、白露に言った。
「すごいよ、白蛇さんと仲良くなるなんて」
ほめられた瞬間、白露の血が沸騰した。悔しがるどころか上から目線でこられるなんて。
「あんたなんか大っ嫌い!」
叫んで返すと、ぽかんと間抜け面をしたあとにしょんぼりと肩を落としたから、ざまあみろと思った。
その後、彼女の両親が事故死したと聞き、神様はいるんだと思った。
彼女の父は伯爵位を持っていたが、子どもだった優凪が継げるわけもなく返上となった。
自分の家に引き取られたのは業腹だったが、操妖術を教えずに飼い殺しているとわかったときには内心で父に喝采した。
これで一番の操妖術を使える女性は白露になった。



