あやかしを慈しむ娘は不器用なマッドサイエンティストの愛に守られる

 ちんちん、どんどん、とにぎやかに太鼓と鐘を鳴らして歩く一行が現れた。顔を真っ白に塗り、ド派手な衣装と大袈裟な動きで人目を引いている。

「あれはなんでしょう?」
広目屋(ひろめや)だね。宣伝して回るんだよ」

「さあさあ、古今東西、海の向こうから集めた珍獣が見られる動物園が開園だ! ろくろっ首より長い首のキリンに大入道より大きな象、百聞は一見にしかず、場所はこちら!」
 口上を述べる人の後ろで女性が宣伝の紙を配っている。

「動物園って初めて聞きました」
「面白そうだね。今度一緒に行こうか」
「はい」
 答えてから、優凪ははっとした。未婚の男女が一緒に出かけていいのだろうか。だけど今日だって出かけているのだし。

 うろたえる優凪の前を広目屋が通り過ぎたあと。
 ふと、ひとりの女性の姿が目についた。
 視線に気付いた女性は優凪を見とがめ、ずかずかと寄って来る。

「なんでお前がこんなところにいるのよ」
 その人物……白露にぎりぎりとにらみつけられ、優凪は言葉をなくして立ち尽くした。