あやかしを慈しむ娘は不器用なマッドサイエンティストの愛に守られる

「すごい人が来てくれた」
 時雨は夢中になってご飯を平らげていた。

 その後、優凪と一緒に本館に行き、あやかしのケガの治療に当たる。
 幸いにも軽傷ばかりで、すぐに治療を終えられた。

 時雨は自身の顎に手を当てて考え込む。
「どの程度のケガまで有効か。病気はどうか。気になることは多いな」

 時雨ははっとして彼女を見た。
「君、疲れてはいないか?」
「大丈夫です、この通り!」
 ぴょん、とはねた優凪は、だけどくらりと倒れかかった。

「危ない!」
 とっさに抱き止めると、ふわりと良い香が漂って時雨はどきっとした。
 顔を上げる優凪と目があって、慌てて離れて頭をかいた。

「無理はしないように」
「……はい」
 顔をうつむける優凪に、時雨の心臓は鼓動を早める一方だった。

***

 部屋に戻った優凪は、胸を押さえて深く息をついた。
 さきほどは平気な振りをしたが、男性と密着するなど初めてだ。

「どうしましょう」
 胸がどきどきして止まらない。
 恥ずかしいのにふわふわした心地がして、優凪はその晩、なかなか寝付けなかった。