あやかしを慈しむ娘は不器用なマッドサイエンティストの愛に守られる

「今後はあやかしの世話も手伝ってもらえるかい?」
「ぜひやらせてください!」

「頼もしいな」
「シグレ、シゴトハ?」
 ベニーの言葉に、時雨は我に返る。

「もともと忘れ物を取りに来たんだった!」
 慌てて出て行こうとして、時雨はぐるっと振り返る。

「ほかのあやかしも癒してほしいけどひとりでは危ないから。帰ったら一緒に頼めるかな」
「先に掃除だけはさせてください」

「気性の荒い子もいるから檻に近付かないでね。でも、君ならわかってるかな」
「はい」
 操妖の家に生まれ、両親がいなくなったあとも操妖の家で女中をしいてた。たいていのあやかしのことはわかる。

 どこからどうやって掃除をしようか。人間が住む離れも掃除が必要だ。綺麗になったらどれだけすっきりするだろう。
 考えるだけで心は踊った。

***

 夜、疲れて帰った時雨はドアを開けて驚いた。
「これ、俺の家か?」
 壁はこんなに白かっただろうか。ランプはこんなに明るかっただろうか。