あやかしを慈しむ娘は不器用なマッドサイエンティストの愛に守られる

「ろくに世話もされてないみたいだから、てっきり……」
「それは申し訳なく思うよ。悪い噂のせいで募集しても人が来ないし、手が回らなくて自分のことはあとまわしだ。なあ」
 時雨が優しくベニーを撫でると、彼はじゃれるように指を甘噛みする。

 優凪は自分の頬に手を当てた。
 噂を鵜呑みにして恥ずかしい。確かに彼の身なりはぼさぼさ、食事は配達ばかりの様子。

「怖がると思ったから近寄るなと言ったのですか?」
「お互いの安全のためにね。あやかしに驚いてケガをした場合、法律上はあやかしが処分される」

「すみません、誤解していました」

「いいよ。よくあることだ。あやかしは好きかい?」
「大好きです」
「良かった」
 時雨のほっとした笑みに、場の空気が急に和んだ気がした。

「ベニーとも仲良くしたいです」
「ナカヨク、スル!」
 ベニーはばさっと翼を広げ、片翼を折り曲げて頭を下げた。

「まあ!」
「ベニーは頭がいいんだよ。こちらの会話も理解している」
「すごいわ」
 優凪がほめると、羽をたたんだベニーは得意げに頭を上下させた。

「だから西洋から密輸入されてね。売られる寸前で保護されてうちに来た」
「シグレ、イガイニ、ヤサシイ」
「意外は余計だろ」
 むっとした時雨に、優凪はくすっと笑う。
 見つかったときはどうなるかと思ったが、ベニーの言う通り、意外にいい人のようだ。