鬼の花嫁~猫にまつわる超短編~

【猫田家完全掌握】

 この日、猫田家に遊びに来ている柚子は、庭で思い思いに日向ぼっこをする猫たちを見て、自然と頬が緩んだ。

 どうして猫は見ているだけで優しい気持ちにさせるのだろうか。

 全身からマイナスイオンを自動生成させて放出していると言われても信じられる。

「本当ににゃん吉君のおうちは猫がたくさんで賑やかそうだね」

「あいあい」

「やー」

 柚子に同意してニコニコと満面の笑みを浮かべる子鬼たちは、手に猫じゃらしを持つと、いそいそと猫たちの群れに突撃していった。

 うにゃうにゃと鳴く猫たちの前で猫じゃらしを振り、飛びかかってくる猫をひらりとかわしながら走り回る子鬼に、柚子は微笑ましそうに笑って眺めている。

「かわいいなぁ」

「柚子のところにはまろとみるくがいるじゃない」

「うん。おかげでうちも毎日賑やかだよ。子鬼ちゃんたちも遊び相手ができて楽しそうだし」

「犬派の私には分からん」

「猫又の花嫁なのに……」

 よりによって猫又の花嫁が犬派とは、一族から大ブーイングの嵐ではないだろうか。

 透子は犬を飼うのが夢らしいが、恐らく夢のまま終わってしまうだろう。

「てかさ、まろとみるくって、ずっと柚子の家にいるわよね?」

「え? 多分いると思うけど。どうかしたの?」

 唐突な質問に首をかしげる柚子。

 透子はうーんと唸りながら、難しい顔をしていた。

「見間違いかもしれないんだけどさ。夜中にたまたま庭を見たわけよ。そしたら、なんか猫たちが静かに集まっててね。なんていうのかな、集会みたいな感じ?」

 透子も表現に困っているようだが、そんな中でもどうにか状況を必死に伝えようと苦心している。

「特に喧嘩とか遊んでるとかでもなく、全員が同じ方向を見て礼儀正しく座ってて……」

「え? なにそれ、猫又の屋敷だから?」

 夜中にそんな光景を見たら普通に怖い。けれど、ここは猫又の屋敷なので、猫たちが普通とは違う行動を起こしても不思議ではないようにも思う。

「にゃん吉に言ったら、寝ぼけてたんだろって言われたわよ。でもちゃんと見たんだから! 猫たちの中心にまろとみるくが座ってて、猫たちが一斉に頭を下げたのよ。