〜新田陽翔〜
体育館裏を出た瞬間、ようやく息を吐いた。
……怖。
本気でそう思った。怒鳴られたわけじゃない。泣かれたわけでもない。
でも、あの目。
自分が選ばれないって可能性を、最初から一ミリも考えてなかった目。
正直、引いた。廊下を早足で歩く。誰かに見られたくなくて、無駄に遠回りする。
――別れればいいじゃん
――わたしのほうが上
頭の中でリピートされる。
……やばいだろ。
結衣のこと悪く言われた瞬間、思ってたよりイラついた自分にも少し驚いてる。あんなにはっきり強く言うつもりなかったのに。でも、言わなきゃだめだった。俺が選んだんだって、ちゃんと。教室に戻る気になれなくて、そのまま昼休み終わるギリギリまで時間を潰した。
放課後は、結衣と少しだけ一緒に帰った。遠山のことは言わなかった。言うべきか迷ったけど、今日はやめた。
まだ、うまく言葉にできない。
家に帰って、部屋のベッドに倒れ込む。天井を見上げながら、スマホを取り出す。
……どうする。とりあえず、琉生に送るか。あいつ、たぶん察してる。
n――生きてるか
数秒で既読。
a――誰がだよ
n――俺
a――あーね 遠山にやられた?
あいつ、勘が良すぎる。
n――断った
a――だろうな
n――てかあいつ普通に怖い
少し間が空く。
a――どんな感じだった?
n――自分が一番って疑ってない感じ
a――相変わらずだな
n――結衣のこと普通に下げてきたし
送ってから、昼のイラつきがまた戻ってくる。
a――あー……
a――それは怒るな
n――つい強めに言った
a――珍しい
自分でもそう思う。
n――結衣のこと悪く言われるの無理だった
打ってから、少しだけ気恥ずかしい。
a――へえ
a――自覚ちゃんとあるじゃん、リア充め
既読無視したくなる。
n――てかさ
n――お前、結衣に言っただろ
少し間が空く。
a――何を?
n――俺が結衣好きって
既読。
……沈黙。
a――そんなこともあったな
おいまてこら
n――なんでだよ
a――言わないとお前一生言わなそうだった
うわ、否定できないのが腹立つ。
n――だからって勝手に
a――結果オーライだろ
画面見ながら、ため息。
……確かに。
結衣が今日言ってくれたの、あれ多分それ知ってたからだよな。
n――まあ
n――助かったのは事実
a――だろ
a――で、ちゃんと守れよ
またそれか。
n――わかってる
n――遠山、たぶん終わってな
a――だろうな
a――気をつけとけ
スマホを顔の上に乗せる。静かな部屋。昼の空気とは真逆だ。
遠山の目を思い出すと、少しぞわっとする。でも同時に、結衣の顔も浮かぶ。
あいつが悪く言われた瞬間、自然に出た言葉。
「やめろ」って。
俺、あんな声出るんだな。
スマホが震える。
a――ちなみに
a――俺は余計なことしてない
n――十分してる
a――感謝しろ
小さく笑う。
n――……ありがとな
既読。
a――お、珍しい
n――うるさい
画面を閉じて、ベッドに転がる。
冷静になって、俺はふとあることに気づいた。
……ん?言った言ってない以前になんであいつ俺が結衣好きだって知ってんだ?
体育館裏を出た瞬間、ようやく息を吐いた。
……怖。
本気でそう思った。怒鳴られたわけじゃない。泣かれたわけでもない。
でも、あの目。
自分が選ばれないって可能性を、最初から一ミリも考えてなかった目。
正直、引いた。廊下を早足で歩く。誰かに見られたくなくて、無駄に遠回りする。
――別れればいいじゃん
――わたしのほうが上
頭の中でリピートされる。
……やばいだろ。
結衣のこと悪く言われた瞬間、思ってたよりイラついた自分にも少し驚いてる。あんなにはっきり強く言うつもりなかったのに。でも、言わなきゃだめだった。俺が選んだんだって、ちゃんと。教室に戻る気になれなくて、そのまま昼休み終わるギリギリまで時間を潰した。
放課後は、結衣と少しだけ一緒に帰った。遠山のことは言わなかった。言うべきか迷ったけど、今日はやめた。
まだ、うまく言葉にできない。
家に帰って、部屋のベッドに倒れ込む。天井を見上げながら、スマホを取り出す。
……どうする。とりあえず、琉生に送るか。あいつ、たぶん察してる。
n――生きてるか
数秒で既読。
a――誰がだよ
n――俺
a――あーね 遠山にやられた?
あいつ、勘が良すぎる。
n――断った
a――だろうな
n――てかあいつ普通に怖い
少し間が空く。
a――どんな感じだった?
n――自分が一番って疑ってない感じ
a――相変わらずだな
n――結衣のこと普通に下げてきたし
送ってから、昼のイラつきがまた戻ってくる。
a――あー……
a――それは怒るな
n――つい強めに言った
a――珍しい
自分でもそう思う。
n――結衣のこと悪く言われるの無理だった
打ってから、少しだけ気恥ずかしい。
a――へえ
a――自覚ちゃんとあるじゃん、リア充め
既読無視したくなる。
n――てかさ
n――お前、結衣に言っただろ
少し間が空く。
a――何を?
n――俺が結衣好きって
既読。
……沈黙。
a――そんなこともあったな
おいまてこら
n――なんでだよ
a――言わないとお前一生言わなそうだった
うわ、否定できないのが腹立つ。
n――だからって勝手に
a――結果オーライだろ
画面見ながら、ため息。
……確かに。
結衣が今日言ってくれたの、あれ多分それ知ってたからだよな。
n――まあ
n――助かったのは事実
a――だろ
a――で、ちゃんと守れよ
またそれか。
n――わかってる
n――遠山、たぶん終わってな
a――だろうな
a――気をつけとけ
スマホを顔の上に乗せる。静かな部屋。昼の空気とは真逆だ。
遠山の目を思い出すと、少しぞわっとする。でも同時に、結衣の顔も浮かぶ。
あいつが悪く言われた瞬間、自然に出た言葉。
「やめろ」って。
俺、あんな声出るんだな。
スマホが震える。
a――ちなみに
a――俺は余計なことしてない
n――十分してる
a――感謝しろ
小さく笑う。
n――……ありがとな
既読。
a――お、珍しい
n――うるさい
画面を閉じて、ベッドに転がる。
冷静になって、俺はふとあることに気づいた。
……ん?言った言ってない以前になんであいつ俺が結衣好きだって知ってんだ?
