『Friends』 〜 一年間の黙示録 〜

〜遠山楓理〜


放課後の教室は、夕方の光で少しだけやわらかい色になっていた。私はわざとゆっくり荷物をまとめながら、タイミングをうかがう。

……いた。琉生くん、まだ帰ってない。相変わらず静かだけど、前よりちょっと柔らかい雰囲気になった気がするんだよね。たぶん私のおかげ!
「ねえ、琉生くん!」
私はくるっと振り向いて、机に手をついた。
「ん? どうした」
ちゃんと目を合わせてくれる。いいね、その反応。
「ちょっと重大発表なんだけど!」
「重大?」
少し笑ってる。ちゃんとノってくれるのえらい。私はもったいぶって、息を吸う。
「私さ、明日――」

ここで間。大事。

「新田くんに告白してあげるんだ!」

言った瞬間、胸がすーっとする!やっぱり声に出すとテンション上がる!
琉生くんは目を少しだけ見開いて、それから「おお」と声を出した。
「ほんとに? 急だな」
「急じゃないよ! ちゃんと考えてたし!」
クリスマスのこともあったし、流れ的にも完璧。
あとは言うだけ!
琉生くんは少し考えるみたいに視線を落としてから、また私を見る。
「応援はするよ」
ほら! やっぱり!
「でしょ!? 成功すると思う?」
「遠山さんなら勢いでいきそうだなって思ってる」
「なにそれー!」
私は笑いながら机を軽く叩く。
「ちゃんと作戦あるし! 放課後に呼び出して、まっすぐ言うの。“新田くん、私が付き合ってあげる!”って!」
遠回しとか、私らしくないしね。琉生くんは少し口元をゆるめる。
「新田、びっくりはするだろうな」
「うん、絶対する!」
想像するだけで楽しい。
「でもさ、遠山さん」
「なに?」
「相手の返事、ちゃんと聞きなよ」
やさしい言い方。ちょっとだけ真面目な目。
「聞くよー!」
当たり前じゃん、って顔をする。
「まあ、“うん”って言うと思うけど!」
だって私だよ?普通、うれしいでしょ。
琉生くんは小さく笑った。
「自信あるな」
「ある!」
即答。カバンを肩にかけて、ドアのほうに歩く。
「明日、特別な日になるから!」
「うまくいくといいね」
ちゃんとそう言ってくれる。やっぱり琉生くん、いいやつ。私は振り返って、にっと笑った。
「成功したら、一番に報告してあげるね!」
よし、完璧。

 明日。
 それは、私と新田くんの記念日!