『Friends』 〜 一年間の黙示録 〜

〜永瀬樹〜


折原葵――彼女も同じ釉浄中学校のはずだった。だが、中学受験をしたらしく、今ここにはいない。
...そういえば、彼女がどの中学校に行ったのかすら僕は知らなかった。ずっと仲が良いと思っていた自分が(つくづく)嫌になる。
今どこで何をしているのだろうか。
あの女(とおやま)の顔が頭に浮かんだのを境に、僕は考えるのをやめた。

窓からふわりと、冬の冷たい風が吹き込んだ。

恋愛というのは、対象の相手を勝手に美化するだけのただの呪いだ。折原のことを好きでさえなければ、ほんの少しの違和感に気づけたかもしれない。早く気付けていれば、まだ仲良くできている世界線があったかもしれない。
こんな前科があるのに、僕はまだ学ばない(・・・・)
わかっている。どうせ自分は水沢莉央のことが好きなんだ。自覚したくないけど、それは現実から目を背けるに等しい。そんなことをしたら、また間違いを犯すだけだ。どうにかしないと、いけない。

前、休み時間に木陰で話したときも、彼女は死ぬこと以外何も希望がなかったはずだ。他に何もないから、あそこまで吹っ切れて、何の暗さもなく無邪気に話せるんだ。でも、僕はきっと違った。あの時僕は少しだけ、彼女と入れる時間が楽しかった。死ぬこと以外にも、他の希望を見出していた気がした。相手はもう何も残っていないのに、僕は心の中でそれを裏切っていた。

だからこそ。
死のう。このまま一緒に死んでしまおう。こんな愚かな奴なんて早く死んでしまえば良いんだ。
彼女と死のうとしていることの罰として、その案件を利用して自分を殺す――実質矛盾だが、別に構わない。

だって、死んでしまえば全部終わるんだから。

それに水沢さんがそれを望んでいるんだったら、それこそ両得。彼女を止めることのできない自分にできることなんて、彼女に望みを叶えることしかないんだ。

彼女は僕にとっての苦い薬で、甘い毒。

予想のできないこの計画がどう転がろうと、それは変わらない。