『Friends』 〜 一年間の黙示録 〜

〜遠山楓理〜


ほんっとに信じられない!!
もう一ヶ月だよ? 一ヶ月。普通ならとっくに忘れてるはずなのに、たまに思い出すのやめてほしいんだけど。いや、別に未練とかじゃないし? ただ、意味が分からないだけ。あんなふうにちゃんと告白してあげたのに、断るってどういうこと? まあいいけど。私と付き合えないって、だいぶ損してると思うし。

だから次。

切り替えは大事。うん、大事。

今日の目標は――新田陽翔くん!

ああいうタイプ、いいよね。明るくて、真ん中にいて、笑ってて。廊下歩いてるだけで目立つし。分かりやすいっていうか。私と並んだら、絶対バランスいいと思うんだよね。

さっきまで廊下にいたのに、もういない。足速いの? それとも私が探してるの察して逃げた? いや、それはないか。私に追われるとか、むしろラッキーだし。

……あ、いた。

自販機の前。友達となんか盛り上がってる。笑い声大きいなあ。でも嫌な感じじゃない。ちゃんと周り見て笑ってる感じ。そういうの、ちょっとポイント高い。
私は一回立ち止まって、スマホの黒い画面で前髪チェック。よし。完璧。
堂々と歩く。遠回りしない。隠れない。私から行くって決めたんだから。
「新田くん!」
声かけたら、すぐ振り向いた。反応いいじゃん。
「ん? どうした?」
「ちょっと話さない? 今大丈夫でしょ?」
確認は一応するけど、断られる前提ではない。
「あー、まあ、いいけど」
ほらね。友達がニヤニヤしてるけど、別にいい。むしろ見ててほしいくらい。
「前からさ、ちゃんと話してみたいなって思ってたんだよね」
「俺と?」
「そう。だってあんまり接点なかったじゃん」
本当は私が動いてなかっただけ。でもそれは言わない。
「新田くんってさ、いつも真ん中にいるよね。なんか、楽しそう」
「いや、そんなことないって」
「あるよ。だって自然に人集まってるし」
ちゃんと目見て言う。褒められて困ってる顔、ちょっと面白い。
「そういうの、いいなって思って」
ちょっとだけ距離を縮める。
「今度さ、放課後ジュース買いに行こ!」
「ジュース?」
「うん。購買でも自販機でもどっちでもいいけど」
「なんでジュースなんだよ」
「なんとなく。軽い感じでいいじゃん」
いきなり重いのはよくないし。……いや、別に重くしてもいいけど。
「……まあ、時間合えばな」
その言い方、完全拒否じゃない。十分すぎる。
「じゃあ決まりね。私、また声かけるから!」
「決まりって」
「だって嫌じゃないでしょ?」
「まあ……?」
ほら。確定。私はにこっと笑う。ちょっと自信ありげに。
「よかった。じゃあよろしくね」
そう言って一歩下がる。引き際も大事。追いかけたくなる距離ってあるし。
新田くん、ちょっと笑ってる。困ってるけど、嫌そうではない。むしろ少し楽しそう。分かるよ、その感じ。私に話しかけられてるんだから。廊下を歩きながら、なんかちょっとだけ気分がいい。

やっぱり私、間違ってない。ちゃんと次に進んでる。
もう新田くんは私のもの同然!