『Friends』 〜 一年間の黙示録 〜

〜遠山楓理〜


次の日の朝。
ひとりで歩く通学路は、思ったよりも軽い。昨日、あんなふうに言われたのに。あんな顔で、あんな声で、突き放されたのに。
胸はちっとも重くない。むしろ、澄んでる。永瀬くん、本当に何を考えてるんだろう。

わたしが告白して“あげた”のに。

あれ、どれだけ価値があるかわかってる? 普通なら、喜ぶところだよ?振るなんて、信じられない。
……ううん、違う。信じられないんじゃない。判断を間違えたんだよね、あっちが。わたしと付き合わないなんて、大損。後から気づいても遅いのに。
昨日の冷たい目を思い出す。あんな顔、初めて見た。でも、それで怖くなったり、落ち込んだりするほど、わたしは弱くない。
あれだけ好きだったけど――。今は、もう思う。ああ、やっぱり違ったんだなって。わたしの隣に立つ人じゃなかった。だって、本当にふさわしいなら、わたしを選ばないわけないもの!

校門が見えてくる。朝の光がまぶしい。

そこで、ふと浮かんだ顔。



...この前、立花と廊下で話していた男の子。

あのときは、ただ横目で見ただけ。でも今思い返すと、ちゃんとかっこよかった。背が高くて、笑うと空気が明るくなる感じ。声も軽くて、余裕があって。ああいうの、いいかも。永瀬くんみたいに、冷たくて理屈ばっかりじゃない。わたしの隣で笑っていたら、きっと絵になる。

うん。決まり。

次は、あの男の子だ。
あの人なら、わたしにちゃんと釣り合う。
でも問題は――。

立花結衣。

昨日も思ったけど、あの二人、少し距離が近い。
結衣ちゃんは優しいし、大人しいし、誰とでも仲良くなる。でも、だからって。

わたしが恋愛するうえで、隣にいる必要ある?
――ないよね。

わたしと新田くんが並ぶなら、そこに結衣は入らない。
だって、主役はわたしなんだから。

結衣は友達。

うん、友達だよ?

でも、恋愛は別。

大事なのは、誰が一番ふさわしいか。
あの人の隣に立つなら、どう考えてもわたし。

結衣には……少し、どいてもらわないと。
別に悪いことじゃない。
恋は早い者勝ちだし、似合う者勝ち。わたしが本気になれば、流れは変わる。今までもそうだった。
気づけば隣に立っていて、気づけば中心にいる。

今回も同じ。

あの人は、わたしを選ぶことになる。そのほうが、ずっと正しいから。
もしその前に、誰かが近くにいるなら。少しだけ、位置をずらせばいいだけ。

だって、わたしは選ばれる側じゃない。

選ぶ側なんだから!