死神カイ君と死にたがりの花子ちゃん

「ひとまず明日、冥界に戻る」

「分かった」

 しょんぼりして答えると、またじーっと疑いの目を向けられた。

「俺が冥界に行っている間、アンタの監視はなくなる訳だが……。勝手な行動するなよ?」

 そう言うことでいないって言った理由が分かったけど、やっぱり信用されていないことに、むっと眉を寄せた。

「だから、死なないって」

「どーだかなー。これまで何回約束を無視しようとしたか」

「それはそれ! 今は今!」

 やいやいと言い合っている中、もう隣に立つフェルが何かを思い付いた顔をする。そうして私達の間に割り込んできた。

 高い身長を私の目線の高さまで落として、にこりと王子様スマイルを向けられる。思わずドキッとして固まってしまうと、花ちゃんと囁かれた。

「明日、僕とデートしようよ」

 …………デート?

 聞き慣れない単語に、頭がフリーズする。

 ……デート?
 今、デートっておっしゃいました?
 デートってあれ?
 あの、男と女がふたりきりで出掛けるって言う……。

 聞き直すことも返事も口から出てこなくて、ただ大きく目を開かせて石みたいに固まっている。そんな姿をどう捉えられたのか――いやフェルからすれば関係ないのだろう。

 くるりとカイの方に向き直り、私の肩を抱き寄せる。呆然と口を開くカイに、にこと微笑んだ。

「そう言う訳だから。明日1日、花ちゃんは僕のものね」