死神カイ君と死にたがりの花子ちゃん

 学校の近くにあるコンビニでもノートは買えた。それでも大きなショッピングモールまで来たのには、5冊セットが売っているからだった。
 少しの差ではあるが、割引きされていて安く買える。それを狙ってやって来た私は、駐車場を渡っていた。

 ショッピングモールの出入り口が見えて来た時、頭上にいたはずのカイが降りてきた。どうしたんだろう? と思った束の間、進行を阻むように体の前に左腕が出された。

「止まれ」

「え? 何で?」

 意味が分からず困惑していると、隣にいるフェルが私の背後に回る。

「血の匂いがするね。念の為、目隠ししとこっか」

「え? 血?」

 何を言ってるの? と更に困惑する私の両目に、手が覆われる。突然視界を奪われて、目の前の状況が分からなくなり、ねー? と声を出した。

「ねぇカイもフェルも何なの? 何で目隠し」

 目隠しするの? と言う前に、突如としてきゃー! と悲鳴が聞こえてきた。

 な、何?
 悲鳴?

 どうなっているのか状況を確認したいけど、フェルの手は目から離れてくれない。どうにか外そうと体をくねくね動かす私は、はたから見たらすごく怪しい人間に映っていただろう。

 けれどそんな私に視線が向けられなかったのは――出入り口から出てきたひとりの男が、血に濡れた包丁を握っていたからだった。

「きゃー!」

「逃げろっ!!」

「いや、死にたくない!」

 不穏な言葉とともに、辺りがバタバタと逃げ惑う騒がしさを感じる。そうなればますますに状況を知りたくなり――パッと目隠しが外れた。

「あっ」

 数分ぶりに視界が開ける。

「被害者はいるけど、ここからだとあまり様子は見えないから大丈夫かな」

「被害者?」

 まだ状況が分かっていない私は、さっきから疑問しか言っていない。すると男の叫び声がして、嫌でも理解した。

「ここにいる奴ら、全員殺してやるっ!」

「へ……。通り魔……?」

 まさかの遭遇に体が固まってしまう。
 男は大声で威嚇し、包丁を振りかざしては、今にも手当り次第に切り付けてしまうような興奮状態だった。

 騒然とする出入り口の向こう。ショッピングモール内に、ひとりの人が倒れているのが見えた。起き上がる様子がなく、床に広がった赤色が少し見えることから、フェルが目隠しをした理由が何となく分かった。

 とは言え、危険な現状。
 私はふたりの死神の袖の裾を引っ張った。