死神カイ君と死にたがりの花子ちゃん

 今日の授業が終わり校門を抜けると、いつもとは反対方向に歩き出した。
 今日も見張りと言う名の監視をしているカイが、私に近付いてきて訊ねる。

「今日は何処かに行くのか?」

「うん。ノートを買いに」

 すると空を飛んで付いて来ていたフェルが降りてきて、隣に並んで歩き出す。

「じゃあ目的の場所に着くまで、僕とお話しして行こうよ」

 ちらと辺りを見れば、同じように帰る生徒がちらほらいる。フェルと会話をすれば、独り言を喋る完全に怪しい奴になるが、まぁ今更かと思った。

「うん」

 そう答えると、フェルは穏やかな表情を浮かべる。
 目的が惚れされる為と知っていても、こんな優しく微笑まれたら、ドキッとしてしまう。

 死神だから他の人には見えないけど、もし見えていたら、私はどんな目で周りから見られるんだろう?

 兄妹? 恋人?
 どうしてあんな女が、こんなイケメンと? 
 なーんて言われて、羨望と嫉みの的になるのは間違いないだろうな。

 それは普段の嘲りや蔑みと違って、ちょっといい気味になるんだろうなぁと。そんなことを考えた。


 ――けれど実際には有り得ないことだから。

 現実に戻って、ふっと自嘲する。思考が現実に戻ってきたところで、話題が振られた。

「お昼に食べていた、黄色い食べ物は何だったの?」

「あれは卵焼きだよ」

「へぇー。甘そうだったけど、そうなのかな?」

「私のは甘く作ったけど、調味料次第で色々な味になるよ」

「調味料?」

「あ、えっとね。醤油とか塩とかの辛いものや、砂糖って言う甘いのがあって、そう言うのを使って料理の味付けをするの」

「その調味料で味を付けるんだね」

「うん。そんな感じ」

 人間界にはそんなものがあるんだねと、フェルが感心する。それからにこりと微笑みを向けられた。

「じゃあ今度僕に作って欲しいな。花ちゃんの愛情がいーっぱい入った、甘い卵焼きを」

 周囲にキラキラと光るエフェクトが見える。もちろん幻であるが、それに当てられた私は、無意識にはい……と答えていた。

「やった」

 楽しみだなぁと嬉しそうな声と、はっと鼻で笑われる声が聞こえる。
 それでもカイは私から離れることはなく。見張りと言う名目で、頭上を飛んで付いて来ていた。