死神カイ君と死にたがりの花子ちゃん

 楽しかった昼休みが終わり、教室に戻ってくる。先に関君のクラスである1組の前で、立ち止まって手を振った。

「今日はありがとう」

「ううん。俺の方こそありがとう」

 一緒に食べれて楽しかった! と笑ってくれることが嬉しい。

 出会いは健全? なものではなかったけど、縁があって仲良くなれたことは素直に嬉しい。
 学校で友達と話をすること。昼休み、友達と一緒にご飯を食べること。どちらも思い描いていた学校ライフを送れていることが、夢みたいに楽しかった。

「じゃあね」

 と、1組の前を去る。すると鈴樹さんと呼び止められた。

「あ、あのさ……。月曜日も……一緒に、昼ご飯食べよう?」

 こうして約束を交わすのも、憧れだった。

「うん。もちろん」

 答えて、今度こそバイバイと別れる。

 これまで4組までの廊下が長くて嫌だったのに。今日はあっと言う間に着く。心なしか足取りも軽くて、気分は晴れやかだった。

 教室の中に入り、自分の席に着く。5時間目の用意をしようと、机の中に手を入れて――にこにこしていた気持ちが、一気に下がってしまった。

 ――あぁ。やられた。

 中から出した数学のノートは、見るも無惨な姿になっていた。表はカッターかハサミで裂かれ、中はマジックペンで塗り潰されたり、破かれていた。
 数学だけではなく国語や英語、全てのノートがやられていて、諦めて鞄の中に入れた。

 ――大概は遠く離れたところから嘲笑したり、悪口陰口を言われるだけ。何でも私に近付きたくないかららしいけど、たまにこうして、物が被害に遭うことがある。

 ……教科書じゃなかっただけ、まだマシかな。

 ノートなら替えが利くが、教科書だと簡単にはいかない。
 不幸中の幸いだと思うことにしたが、やり切れない思いはあった。


「――くすくす」

 何処かからか聞こえてくる笑い声。私に向けられたものだと分かったが、そっちに振り返ることはしなかった。

 さっきまで楽しい気分だったのに――。

 それは完全に消え去り、代わりに負の感情が沸き起こる。きゅっと下唇を噛み締め、早く死にたいなぁ……と思った。