死神カイ君と死にたがりの花子ちゃん

 4時間目の授業が終わり、昼休みになる。いつも通りお弁当箱を入れたランチバッグに、本とスマホを入れて準備をしていた。

「鈴樹さーん」

 名前を呼ばれてぱっと顔を上げる。廊下に関君の姿があり、おーいと手を振っていた。

 そう言えば昨日、お昼を一緒に食べる約束をしてたっけ。

 忘れていた訳ではないが、心のどこかで本当にあるとは思っていなかった。

 昼休み開始とともにやって来てくれた関君を見て、嬉しい気持ちになる。鞄を手に持って、小走りで向かった。

「来てくれたんだ。ありがとう」

「だって昨日約束したでしょ? 楽しみにし過ぎて、授業が終わってすぐ来ちゃった」

 えへへと、関君が照れ笑いをする。

「何処で食べる? 鈴樹さん、あっちの校舎に行ってるって言ってたし。そっちに行く?」

「あ、いやー……。ふたりだと、オススメは出来ないかな」

 さすがに関君と一緒に、トイレに入ることは出来ない。それに惨めにトイレに篭ってると言うことも、知られたくないなと思った。

「そうなんだ。じゃあ何処に行こっか?」

「屋上は? 今日も行けないかな?」

「んー……屋上は無理だと思う。実はあの時、職員室からこっそり鍵を盗んだんだよね。でもちゃんとその日の内に返しておいたから」

「そうだったんだ」

 通りでと納得する。普段行けないように鍵が閉まっているのになぁと、不思議に思っていたから。


 廊下を出た教室の前でどうしようか? と喋る私達を、誰かの視界に入らない訳がない。

「邪魔だから、そこで喋んないんで欲しいんだけどなー」

「なになに、あれ? ゲテモノカップル?」

「底辺同士色気付いてんじゃねーよ。ウザ」

 これまで私だけだった陰口が、ふたり合わせたものになっていた。
 別に言い慣れている訳じゃないけど。関君も陰口の対象になっていることが、もやもやと嫌な気分が沸き起こってくる。

 相変わらず関君は聞こえていないのか。全く気にした様子はなく、にこにこと笑っている。

 それが唯一の救いではあったが、これ以上ここにいたくなくて。関君の袖を掴んで、引っ張った。

「移動しよう」

「あ? え、う、うん!」

 袖から手を離して、歩き出す。もの凄く慌てた返しをした関君は、私の後を追ってきた。