死神カイ君と死にたがりの花子ちゃん

 掛ける言葉はなかった。私のポイントをあげると言っても、鎌がなければどうしようもなかったから。

 頬杖を付いたまま、カイは遠くの方を見つめている。その横顔は何とも言えない哀愁と、何ともならない焦燥感が滲んで見えた。

 ふわりと吹く風が、フェルとは違う短い銀髪を揺らす。
 寂しげな背中をどうにかしたくて、ねぇと声を掛けた。

「死神同士、協力出来ないの? その、ポイトンを代わりに取ってもらうとか、分けてもらうとか。フェルとは知り合いみたいだし、力を貸してもらうとか……」

「はぁ?」

 私の発言に、明らかに不機嫌になる。

「出来る訳ないだろ。そもそもこれは個人戦で競い合ってんだから、ポイントを渡す、もらうって言う話じゃねーんだよ。って言うか、うまいことそう言って、あいつに近付こうとしてんのか?」

「ち、違うよ! どうしてそうなるの!?」

「どうだか。アンタ、あいつに釘付けになっていたしなー」

「そ、それは否定しないけど。だ、だってあんなことされたら誰だって、女の子ならそうなるよ!」

「ふぅーん」

 心底興味なさげに呟かれ、悲しい気持ちになる。

 ……何でそんな、意地悪なこと言うの?

 そう思えばどんどんと、悲しみが膨らんでいく。

「わ、私だって、死ねるんだったら今すぐ死にたいよ? でもカイには恩があるから。だから……フェルを断ったのに……」

 カイの今置かれている状況。ポイントのこと。
 交わした約束。お願いを聞いてくれたこと。

 ――どれだけ面倒くさそうでも。
 私のことを見てくれたこと。

 私なりにカイを思ってした行動が、言動が。カイに伝わない悲しみ。それが悔しくて、悲しくて、感情が溢れ出てしまった。


「――そんな風に言われるんだったら、フェルに死なせてもらえばよかった!」

 感情のまま叫んだ私を、カイは恐ろしい形相で見る。
 怖さを感じた刹那。カイの手が伸びてきて、気付けば押し倒されていた。