死神カイ君と死にたがりの花子ちゃん

「アンタに死なれたら困るからだ」

「ですよね~」

 分かってはいた。
 カイはポイントの為やらに、私に自死して欲しくないことを。あくまでもカイ自身の手で魂を狩らなきゃいけないから、それまでに死なれたくないのだ。

「人間は寒さでも、風邪でも命を落とすだろ?」

「うん。酷い場合はそう言うこともあるね。でも風邪で死ぬ可能性もあるって、知ってるんだ」

「過去にそれが原因になった、老人の魂を狩ったことがある。ただの風邪だと思っていたのにって、泣いていたな」

 きっとその人は肺炎になって、重症化してしまったんだろう。
 これまでたくさんの人の死に触れてきたからか。はたまた死神だからか。淡々と無感情にその瞬間を話すカイは、本当に死神なんだなと改めて思う。

 手元に目を伏せ、老人の最期をぼんやり考えていると、パッと顔を覗き込まれた。

「だから早く良くなりやがれ」

 そう言ってフードを被せられる。目深どころではなくすっぽり頭が覆われて、うん……と小さく返事をした。


 ――ぶっきらぼうだけど優しい気遣いに、同情はなくとも私のことを思っての優しい言葉。

 こんなの恋しちゃう――


 なんてことはなかった。


 それらが目的を果たす為の過程のひとつだと知っていたし、私も日々死にたいと願う中で、恋だの何だのと、思う隙間など一切なかったからだ。