苦しくて辛くて。先の未来が見えなくなって、この世から消えようとしていた関君は、今日死ぬ運命じゃなかった。
つまり。彼にはまだ未来があって。
死期があるのだとしたら、それは今日じゃない。今日じゃない別の日。
カイの姿が見えないことが、何よりの証拠だから――。
カイ、死神の姿が見えるのは、死期が間近にある人だけ。それが見えないのだと分かると、結果的に助けられて良かったと思った。
無意味に関君が死んじゃうところだった……。
けれど死のうと思っていた関君からすれば、未来があると言われても、良くは思えないだろう。悔しそうな苛立ちのような色を滲ませて、どんと床を叩いた。
「俺に未来なんてないよ! 言っただろう? イジメられて、毎日がもう嫌なんだ! 生きてる意味がない!」
大きな声で吐露される気持ちは、よく分かった。
私も……生きてる意味が分からないから……。
黙って関君を見る私に対し、カイは興味なさげに宙に浮くと、その場に空気椅子のように座り足を組む。
「俺はひとりぼっちで……。生きていても楽しいことなんてない……」
最後弱々しく吐かれて、私はそっと立ち上がる。彼の元に歩み寄ってしゃがみ込み、そっと手を取った。
「私がいるよ。少なくとも、関君の気持ちは分かってあげられると思う。だから話し相手くらいなら、いつでも出来るよ」
「……鈴樹さん」
「とは言え、私じゃ頼りないか」
あはははと苦笑を浮かべると、ぎゅっと手を握り返された。顔が近くに迫って、長い前髪の間から真剣さを宿した目が見える。
「そんなことない! 俺にこんな親身になってくれたのは、鈴樹さんが初めてだよ」
「う、うん」
あまりの近さと真剣さに、背筋がぴんと伸びる。予想外のことに、うまく言葉を返すことが出来なかった。
「あの……。俺と。友達になってくれませんか?」
「私でよければ、もちろん」
「よかったぁ……」
返事を聞いて、本当によかったと。関君が安心したのが分かる。
「じゃあもう少し。俺、生きてみるよ」
にこっと笑った関君に、さっきまでの絶望感はなかった。それは少しだけかも知れないけれど、希望に期待しているように見えた。
つまり。彼にはまだ未来があって。
死期があるのだとしたら、それは今日じゃない。今日じゃない別の日。
カイの姿が見えないことが、何よりの証拠だから――。
カイ、死神の姿が見えるのは、死期が間近にある人だけ。それが見えないのだと分かると、結果的に助けられて良かったと思った。
無意味に関君が死んじゃうところだった……。
けれど死のうと思っていた関君からすれば、未来があると言われても、良くは思えないだろう。悔しそうな苛立ちのような色を滲ませて、どんと床を叩いた。
「俺に未来なんてないよ! 言っただろう? イジメられて、毎日がもう嫌なんだ! 生きてる意味がない!」
大きな声で吐露される気持ちは、よく分かった。
私も……生きてる意味が分からないから……。
黙って関君を見る私に対し、カイは興味なさげに宙に浮くと、その場に空気椅子のように座り足を組む。
「俺はひとりぼっちで……。生きていても楽しいことなんてない……」
最後弱々しく吐かれて、私はそっと立ち上がる。彼の元に歩み寄ってしゃがみ込み、そっと手を取った。
「私がいるよ。少なくとも、関君の気持ちは分かってあげられると思う。だから話し相手くらいなら、いつでも出来るよ」
「……鈴樹さん」
「とは言え、私じゃ頼りないか」
あはははと苦笑を浮かべると、ぎゅっと手を握り返された。顔が近くに迫って、長い前髪の間から真剣さを宿した目が見える。
「そんなことない! 俺にこんな親身になってくれたのは、鈴樹さんが初めてだよ」
「う、うん」
あまりの近さと真剣さに、背筋がぴんと伸びる。予想外のことに、うまく言葉を返すことが出来なかった。
「あの……。俺と。友達になってくれませんか?」
「私でよければ、もちろん」
「よかったぁ……」
返事を聞いて、本当によかったと。関君が安心したのが分かる。
「じゃあもう少し。俺、生きてみるよ」
にこっと笑った関君に、さっきまでの絶望感はなかった。それは少しだけかも知れないけれど、希望に期待しているように見えた。

