「――――おいっ!」
何処からか声がした。でもそれを気にする暇はなく――宙に舞い始めた体が、突然引き止められる感覚に襲われた。
手首が掴まれ、右腕がぐいと突っ張る。不自然な格好で浮き、足が宙ぶらりんになって、え? と後ろに顔を向けた。
「あ……」
そこにいた人物を見て、さー……と血の気が引いていくのが分かる。冷静になって今のこの状況を理解して、思わず苦笑いを零すと、飛び降りを止めた人物――カイが怒りを湛えながらにこぉと笑った。
「よぉ。様子を見に来てみれば……。この状況はどう言うことだろうなぁ?」
「あは……。あははは……」
「俺との約束。忘れた、なんてことないよな?」
釘を刺すような凄みと圧に、苦笑いを返すことしか出来ない。
そんな私の隣にいた関君も、カイの手に掴まれていた。同じように落ちるのを止められていたが、え? え? と状況を理解出来ていないようだった。
「とにかく。先にこっちを助けるぞ」
そう言って、関君を引っ張り上げる。いくらカイが男とは言え、片手だけでふくよかな彼を助けるのは辛そうだった。
くっと歯を噛み締め、力が振り絞られる。表情を歪ませ引き上げられるが、もう少しと言うところで関君が暴れ出した。
「うわぁ! 何が俺の手を掴んでるんだよ!? 離れろ!」
「おい、動くな!」
何かに手を掴まれ、何かに引き上げられている。
訳が分からずパニックになった関君が、その手から逃れようともがく。バタ付かせる足がカイの左手に当たり、掴んでいた力が緩まった。
「あっ」
握力が弱まってしまったことで、私の手はカイの手から滑り落ちる。
結果。宙に放り出され、瞬間落下していった。
「鈴樹さん!」
落ちていく私に、関君が叫ぶ。
一度はカイに止められたものだから、頭から落ちなきゃとか考える余裕はなかった。ただ落下していく自分を受け入れていれば、ガッ! と腰を抱え込まれた。
「危な……」
地面に叩き付けられる前に、何とかカイが間に合った。右手で関君の手を掴み、左手で私の腰を抱えたまま、屋上に上がっていく。
ふたり分の重みにフラフラしながらも、柵を越え、屋上の床に下ろされた。
「はぁはぁ……」
座り込んで空を仰ぎ、切れた息を吐いていたカイだったが、やがてじろと睨まれる。その視線に、私の肩がびくと跳ねた。
何処からか声がした。でもそれを気にする暇はなく――宙に舞い始めた体が、突然引き止められる感覚に襲われた。
手首が掴まれ、右腕がぐいと突っ張る。不自然な格好で浮き、足が宙ぶらりんになって、え? と後ろに顔を向けた。
「あ……」
そこにいた人物を見て、さー……と血の気が引いていくのが分かる。冷静になって今のこの状況を理解して、思わず苦笑いを零すと、飛び降りを止めた人物――カイが怒りを湛えながらにこぉと笑った。
「よぉ。様子を見に来てみれば……。この状況はどう言うことだろうなぁ?」
「あは……。あははは……」
「俺との約束。忘れた、なんてことないよな?」
釘を刺すような凄みと圧に、苦笑いを返すことしか出来ない。
そんな私の隣にいた関君も、カイの手に掴まれていた。同じように落ちるのを止められていたが、え? え? と状況を理解出来ていないようだった。
「とにかく。先にこっちを助けるぞ」
そう言って、関君を引っ張り上げる。いくらカイが男とは言え、片手だけでふくよかな彼を助けるのは辛そうだった。
くっと歯を噛み締め、力が振り絞られる。表情を歪ませ引き上げられるが、もう少しと言うところで関君が暴れ出した。
「うわぁ! 何が俺の手を掴んでるんだよ!? 離れろ!」
「おい、動くな!」
何かに手を掴まれ、何かに引き上げられている。
訳が分からずパニックになった関君が、その手から逃れようともがく。バタ付かせる足がカイの左手に当たり、掴んでいた力が緩まった。
「あっ」
握力が弱まってしまったことで、私の手はカイの手から滑り落ちる。
結果。宙に放り出され、瞬間落下していった。
「鈴樹さん!」
落ちていく私に、関君が叫ぶ。
一度はカイに止められたものだから、頭から落ちなきゃとか考える余裕はなかった。ただ落下していく自分を受け入れていれば、ガッ! と腰を抱え込まれた。
「危な……」
地面に叩き付けられる前に、何とかカイが間に合った。右手で関君の手を掴み、左手で私の腰を抱えたまま、屋上に上がっていく。
ふたり分の重みにフラフラしながらも、柵を越え、屋上の床に下ろされた。
「はぁはぁ……」
座り込んで空を仰ぎ、切れた息を吐いていたカイだったが、やがてじろと睨まれる。その視線に、私の肩がびくと跳ねた。

