死神カイ君と死にたがりの花子ちゃん

 皮肉を込められたいい方であったが、カイはそれに気付かなかった。それに対してエンバーも何も触れることはなく、何もなかったように預かった棒に目を向けた。

「それにしても……。ふふっ。これが鎌だったなんてね~」

 止まっていた笑いが、また込み上げてくる。

「見る影もな~い」

 あっはっはっは! と再び笑いの壺に入ったエンバー。工房内が笑いに包まれるのを、カイはけっと不満を吐いた。

「それじゃあよろしくお願いしますよ」

 背を向け、振り返ることなく去っていく。

「うんうん。期待しないでね~」

「はいはい」

 バタンと強めに扉を閉め、外に出たカイははぁと大きなため息を吐く。
 この先を考えれば憂鬱で仕方なかったが、今はこの3日間を信じて待つしかなかった。

「とりあえず。あいつのところに行くか」

 ガシガシと頭を掻いて、フードを被る。マントを翻すと、カイの姿はふっと消えた。




「――バタンッ!」

 強めに閉まった扉の音を聞いて、エンバーの笑いがぴたりと止まる。ぼすんとクッションのいいソファに背中から倒れると、預かった鎌だった物を見つめた。

 天井にかざしながら、ふと思う。

「そう言えば。何で壊れたのか聞くの忘れたなー」

 まぁいっかと心の中で呟き、預かったもののなーと考える。

「もう何千年と技師をやってるけど。壊れたなんて、ホント初めだなぁ」

 どうして壊れたんだろう? あの死神君の死神としての力が弱いから?

 それとも――――

 あれこれと考えが過るが、エンバーはくすと嘲笑気味に笑う。

「ま、ボクの知ったことじゃないか。どの死神もみーんな同じで、面白味ってものがないよね」

 そんな中でこの壊れた鎌は、エンバーの長い人生に、久し振りの愉快をもたらした。