そう言われ、カイはあの日のことを思い出す。
――死神として目覚めた時。閻魔大王から魂を受け取り、この巨木の回りに伸びる螺旋階段を並んだことを。
そしてこの工房内で、エンバーに問われた。君が望む死神像は――? と。
願い、望む形に、魂がその姿を変え、魂を狩る為だけに特化した、シンプルさの中に鋭さを宿す、自分だけの鎌を手に入れた――のだと。
「だからね、鎌を直す方法も、ましてや予備なんてのはないんだよ。授与の儀が終わってここに来る死神は、自分の鎌をカスタムしたいって子だけ。あ、そうそう。そう言えばこの前、刃先をギザギザにして、ある部分に穴を空けたいって言う子がいてさ。どうなるんだろ~? と思ってたら、鮫みたいな見た目にして、ちょっとバカだなって思ったんだよね。でもその子のテンションが上がるなら大事なことだし。って、聞いてる~?」
おーいとカイの顔の前で手を振る。当の本人は打ちのめされた事実に、呆然としていた。
ふと俯いて、ぶつぶつと呟き出す。
「……何で俺がこんな足止め食らわなきゃいけねーんだよ……。ポイントを稼いで、何が何でも1位を取るんだ……」
そんなカイを見て、エンバーはふぅと息を吐く。
「まだ猶予期間はあるでしょ?」
「あ、あぁ。1週間はある」
話し掛けられたことで、カイはふっと顔を上げる。と、3を示す指がずいとすぐ目の前に現れた。
「3日。ボクが預かっておくよ。何か方法がないから調べておくからさ。あ、でも期待はしないで。何なら徒労に終わると思ってくれていい。何てったって、こんな事例過去に一度もないんだから」
そう言って棒を見つめ、くくと笑う。
「3日間で何かあったら、すぐ君に連絡する。なかったらそう言うことだから、取りに来なね」
「……分かった」
腑に落ちない感じではあったが、それしかないのだから納得せざるを得なかった。飲み込むようにして答えたが、明らかに意気消沈していた。
「渡されたリストの人間の魂を狩るまで、次のリストはもらえない。つまりポイントももらえない。猶予期間を過ぎたらポイントはマイナスになる。君からすれば、とんだ災難だね」
それは言われるまでもなく、分かっていること。だから悔しさこそ滲み出すが、カイは何も言わない。
「君はどうしてそんなに1位になりたいんだい?」
エンバーの分かり切った問いに、はぁ? と言う顔を向ける。
「そんなの決まってるだろ? 俺は人間に堕ちるなんざ、死んでも御免だ。でもこれは全死神が思ってることだろ? 1位になって、神は神に成りうる」
それが当然だと言わんばかりの解答に、エンバーはふーんと返した。
「君は。いや君も、立派な死神だね」
――死神として目覚めた時。閻魔大王から魂を受け取り、この巨木の回りに伸びる螺旋階段を並んだことを。
そしてこの工房内で、エンバーに問われた。君が望む死神像は――? と。
願い、望む形に、魂がその姿を変え、魂を狩る為だけに特化した、シンプルさの中に鋭さを宿す、自分だけの鎌を手に入れた――のだと。
「だからね、鎌を直す方法も、ましてや予備なんてのはないんだよ。授与の儀が終わってここに来る死神は、自分の鎌をカスタムしたいって子だけ。あ、そうそう。そう言えばこの前、刃先をギザギザにして、ある部分に穴を空けたいって言う子がいてさ。どうなるんだろ~? と思ってたら、鮫みたいな見た目にして、ちょっとバカだなって思ったんだよね。でもその子のテンションが上がるなら大事なことだし。って、聞いてる~?」
おーいとカイの顔の前で手を振る。当の本人は打ちのめされた事実に、呆然としていた。
ふと俯いて、ぶつぶつと呟き出す。
「……何で俺がこんな足止め食らわなきゃいけねーんだよ……。ポイントを稼いで、何が何でも1位を取るんだ……」
そんなカイを見て、エンバーはふぅと息を吐く。
「まだ猶予期間はあるでしょ?」
「あ、あぁ。1週間はある」
話し掛けられたことで、カイはふっと顔を上げる。と、3を示す指がずいとすぐ目の前に現れた。
「3日。ボクが預かっておくよ。何か方法がないから調べておくからさ。あ、でも期待はしないで。何なら徒労に終わると思ってくれていい。何てったって、こんな事例過去に一度もないんだから」
そう言って棒を見つめ、くくと笑う。
「3日間で何かあったら、すぐ君に連絡する。なかったらそう言うことだから、取りに来なね」
「……分かった」
腑に落ちない感じではあったが、それしかないのだから納得せざるを得なかった。飲み込むようにして答えたが、明らかに意気消沈していた。
「渡されたリストの人間の魂を狩るまで、次のリストはもらえない。つまりポイントももらえない。猶予期間を過ぎたらポイントはマイナスになる。君からすれば、とんだ災難だね」
それは言われるまでもなく、分かっていること。だから悔しさこそ滲み出すが、カイは何も言わない。
「君はどうしてそんなに1位になりたいんだい?」
エンバーの分かり切った問いに、はぁ? と言う顔を向ける。
「そんなの決まってるだろ? 俺は人間に堕ちるなんざ、死んでも御免だ。でもこれは全死神が思ってることだろ? 1位になって、神は神に成りうる」
それが当然だと言わんばかりの解答に、エンバーはふーんと返した。
「君は。いや君も、立派な死神だね」

