死神カイ君と死にたがりの花子ちゃん

 どうしてぇ? と額を押さえながら、訴える目で見る。でもカイには私の目は見えていないので、ふんと不満を露にして、距離を空けた。

「とは言え、まだアンタには死の猶予がある」

「それまでに私を殺せばいいって言う、期間か何か?」

「そうだ」

「それっていつまでなの?」

「今日から1週間だ」

「1週間……」

 噛み締めるよう、1週間と言う言葉を反芻する。充分に意味を理解してから、にへらと笑い出した。

 目が隠れ、弓なりに上がった口だけが見える笑顔は、さも不気味に映っていることだろう。
 うわと引かれた声が出されたが、聞こえちゃいなかった。

「それってつまりはぁ……。1週間以内に死ねるってことですよねぇ……?」

 頬を赤らめ、ぐふふと笑えば、カイは更に私との距離を空ける。

「平たく言えば、そう言うことだな」

「わーお」

 テンションが上がり、気色悪い受け答えをしてしまう。
 両頬に手を当てて、うきうきと体を揺らし喜んでいたが、またはぁー……とため息が降ってきた。

「喜んでいるとこ申し訳ねーけど。鎌が元に戻った前提の話だからな?」

 分かってんのか? の声音に、ハッと我に返る。その通りだと思い返り、バッと顔を上げた。

「どどどどうやったら、鎌は直るの!?」

 動揺が口調に表れる。あまりの慌てっぷりに、両手までもがあわあわと宙をさまよう。

「とりあえず。冥界に戻る」

「わー。いかにも死神って感じ」

 すごーいとまた目を輝かせ、パチパチと手を叩く。バカにしているつもりは全くなかったけど、カイから冷ややかな視線をもらってしまった。

「とにかく。どうなるかは分からないが、進展があればアンタには知らせる。実際のところ一瞬で直って、すぐに魂を狩れるようになるかも知れねーしな」

「是非ともそうなりますように」

 指を組み合わせ、祈りのポーズをする。そんな私を見ているのか、見ていないのか。カイがフードを被ると、顔が半分程隠れた。

「じゃあな」

「え? どうやって冥界に帰るの?」

「マントを自分に巻き付けるようにすれば、戻れる」

 そう言って、長く黒いマントをバサリと前に翻す。と、一瞬で目の前からいなくなってしまった。

「本当だぁ……。すごーい」

 まるでイリュージョンのようなお手並みに、感動する。
 しかしふと。ひとりになってしんと静かになり、えっ!? とその場に立ち上がった。

「私、どうやって降りんの!?」