死神カイ君と死にたがりの花子ちゃん

「俺達死神はリストを渡され、そのリストに載る人間の魂を狩りに来てるんだが」

「おぉ……! そんな裏事情が! 世間一般にある話とは、ちょっと違うんだね。でも誰でもいいって訳じゃないんだ」

「当たり前だろ。誰彼構わないってんなら、人類はとっくに全滅してると思うぞ? 仮にも俺達は ”死を司る神“ だ。そんな命の冒涜はしねーよ。リストに載る人間は全員、死期が近い奴らだけだ。だからこそ俺達死神の姿が見える」

「へぇー! なるほど」

 興味深い話に、強い感心が口から出る。

「そして今回、俺に渡されたリストに書かれていたのはスズキ ハナ。アンタだったと言う訳だ」

 そう言ってカイは一枚の紙を出した。
 真っ白と言うよりかは色褪せた古紙の色味で、それはパッと見、履歴書みたいだった。

 何処で誰が撮ったのか? 何処で誰が手に入れたのか? 私の無表情な顔の写真が貼られ、名前の欄には確かにスズキ ハナとカタカナで書かれている。

 その下にもまだ何かが書かれていたが――気になって手を伸ばした直後、さっと懐にしまわれてしまった。

「渡さねーよ。証拠に見せただけだ」

「むぅー。ケチッ」

「誰がケチだ。これ以上は業務上のプライバシー侵害だ」

 しっしっと手で追い払う仕草をしたまでは元気だったが、急にカイのテンションが下がる。さっきのことを思い出して、気持ちがどんよりとなったようだ。

「そう言うことで、アンタのとこに来た訳だが……」

 はぁと。先程からため息が止まらないよう。
 陰気なオーラを纏う姿は、イケメンには似合わない。が、何度とため息をされるとさすがに気になる。

「そんなに落ち込まなくてもよくない?」

「あぁ? これが萎えずにいられるかよ。鎌が壊れるなんて、前代未聞! 任務失敗なんかになっちまったら、ポイントの差が明らかになるだろーが……」

「ポイント?」

 何の? と訊ねるが、耳には入っていないようだ。
 手で顔を覆って、何やらぶつぶつと呟いている。と思えば突然ハッとなり、絶望に顔を青ざめさせた。

「待てよ……。このまま鎌が壊れたまんまだったら、強制リタイアって可能性も……」

「ねぇー、聞いてる? ポイントってなに?」

 私のことが視界に入っていないようだったので、顔を覗き込んで訊いてみる。
 急に目の前に現れた形となった私をジト目でじっと見て、カイは何も言わずにデコピンをかましてきた。

「あいたっ! 何で!?」

「そこまで教えてやる義理はねーな」