死神カイ君と死にたがりの花子ちゃん

 腰を抱きかかえられたまま、もう一度タワーの登頂部にやって来る。さっきの場所で下ろされると、カイは深い深いため息を吐いた。
 頭をガシガシと掻き、それはそれは面倒くさそうな顔をしている。

「どうしてまた、私はここに連れて来られたの?」

 鎌が壊れたことで、魂が狩れない。言ってしまえば今は何も出来ない状況であり、それなら家に帰りたいと思う。

 ……帰りが遅くなって、怒られることはないけど。

 そもそも、私が家にいないことすら気付かれていないだろう。それでも何かの用で呼ばれた時にいないと分かれば、後でぐちぐち文句を言われるのは間違いない。

 そうなる前に帰りたい。と言う気持ちはあり、また人目の付かない場所に連れて来られたことを訊ねた。

 そんな問いを聞いて、カイは私の方を向いた。
 人間とは違った金色の目。まるで猫を前にしているような瞳に、陽の光でキラキラ輝く銀髪。それは擬人化したロシアンブルーみたいだなと、改めて見て思った。

 ――立つだけで絵になるイケメンなのに。

 一度じーっと私を見つめて、目を逸らしてはぁとため息を付く。整った顔は惜しみもなく、めんどーと顰められた。

「こんなことになってしまった以上、仕方ねーけど、アンタには話しておくことがあるからな」

「話?」

「知っておいてもらうことだ」

 カイの態度とは裏腹に、何だろう? と思う。
 早く帰りたいと思ってもここにいる以上、私ひとりでは帰ることが出来ない。

 それに死神の話が何なのか? と言う興味もあって、私はその場に座った。

「分かった。聞くよ」

 目こそ見えなかったが、もし見えていたなら、わくわくと輝いていたかも知れない。

 素直に応じる私に、やっぱり変わった奴だと言う視線を向けてから、カイはふわりと宙に浮いた。そこに椅子があるように腰を下ろすと、話を始めた。