次の日の午前中が休講だったため、カフェテリアでレポートを作成しようとノートパソコンを広げたが、昨日の事が気になって手を動かすことが出来なかった。
持ってきていたA4サイズのノートに走り書きをした。こういうときは考えていることを紙に書くと、頭の中が整理されてスッキリするのだ。
門田さんの彼氏の田辺さんが行方不明→門田さんによって、捜索が打ちきり→そして二週間後、所在不明だった門田さんに、やっと話を聞けると思ったら、田辺さんはバイト先の先輩の彼氏にバイトを勧められ、麻薬とは知らずに運び屋をやっていた。
内緒にして欲しいと門田さんに言われるが、何故か警察にはバレていて、田辺さんの家に警察が来て家宅捜索になる→野上君という編入生が、キツネの仕業だと言って──
そこまでノートに書いて、自分が書いたキツネの仕業の文字を見ると、急に馬鹿馬鹿しくなって、ペンをテーブルの上に置いた。すると、後ろから声が聞こえた。
「ふーん。そういうことだったのか」
音もなく現れた野上君は、私の後ろからノートを覗きこんでいた。慌ててノートを隠しながら、私は野上君に文句を言う。
「ちょっと、声くらい掛けなさいよ」
私がそう言うと、野上君は少し不服そうに向かいの席へ座った。長い足をもて余すように、足を組んでこちらを見ている彼の目は、一重なのに形がくっきりしていて、威圧的だった。
「そんなに人の顔を、ジロジロ見るなよ。俺は口下手だから!」
「え?」
慌てている野上君を見て、見た目は大人っぽいけど、中身は意外と子供なのかもしれないと思った。
「今回の事件解決に、真面目に協力してくれるって信じてもいい?」
「その為に、ここへ来た訳だし。今回だけじゃなくて、ずっとあんたを助けたいと思っている」
真剣な視線に、不覚にも一瞬ドキリとしてしまった。視線をそらし、気を取り直すと野上君に向き合った。
「あんたじゃなくて、桜田よ。桜田結愛。あなたと同じ二年生。よろしくね」
「桜田結愛? 桜田って言いづらいな。俺も結愛って呼んでいい?」
「いいわけないでしょ」
「え? 何で?」
私は彼の顔を見て、溜め息をつくと投げやりに言った。
「もう、結愛でいいわよ!」
野上君を軽く睨むと、彼は嬉しそうに笑ったのだった。
「ありがとう、結愛」
持ってきていたA4サイズのノートに走り書きをした。こういうときは考えていることを紙に書くと、頭の中が整理されてスッキリするのだ。
門田さんの彼氏の田辺さんが行方不明→門田さんによって、捜索が打ちきり→そして二週間後、所在不明だった門田さんに、やっと話を聞けると思ったら、田辺さんはバイト先の先輩の彼氏にバイトを勧められ、麻薬とは知らずに運び屋をやっていた。
内緒にして欲しいと門田さんに言われるが、何故か警察にはバレていて、田辺さんの家に警察が来て家宅捜索になる→野上君という編入生が、キツネの仕業だと言って──
そこまでノートに書いて、自分が書いたキツネの仕業の文字を見ると、急に馬鹿馬鹿しくなって、ペンをテーブルの上に置いた。すると、後ろから声が聞こえた。
「ふーん。そういうことだったのか」
音もなく現れた野上君は、私の後ろからノートを覗きこんでいた。慌ててノートを隠しながら、私は野上君に文句を言う。
「ちょっと、声くらい掛けなさいよ」
私がそう言うと、野上君は少し不服そうに向かいの席へ座った。長い足をもて余すように、足を組んでこちらを見ている彼の目は、一重なのに形がくっきりしていて、威圧的だった。
「そんなに人の顔を、ジロジロ見るなよ。俺は口下手だから!」
「え?」
慌てている野上君を見て、見た目は大人っぽいけど、中身は意外と子供なのかもしれないと思った。
「今回の事件解決に、真面目に協力してくれるって信じてもいい?」
「その為に、ここへ来た訳だし。今回だけじゃなくて、ずっとあんたを助けたいと思っている」
真剣な視線に、不覚にも一瞬ドキリとしてしまった。視線をそらし、気を取り直すと野上君に向き合った。
「あんたじゃなくて、桜田よ。桜田結愛。あなたと同じ二年生。よろしくね」
「桜田結愛? 桜田って言いづらいな。俺も結愛って呼んでいい?」
「いいわけないでしょ」
「え? 何で?」
私は彼の顔を見て、溜め息をつくと投げやりに言った。
「もう、結愛でいいわよ!」
野上君を軽く睨むと、彼は嬉しそうに笑ったのだった。
「ありがとう、結愛」

