木曜日の午後、私達は再び喫茶レーベルへ来ていた。大学が終わって午後三時半過ぎにお店へ着くと、店内は混みあっていたおり、十五分ほど待って席へ着くことが出来た。
「野上君、アイスコーヒーで大丈夫?」
「アイスコーヒーは飲めないから、コーラがいい」
そう言った野上君に、玲奈は信じられないという目を向けていた。
「ガイジンさん?」
コーラがメニューになくてジンジャーエールを頼んでいた野上君は、小さな女の子に声を掛けられていた。三歳くらいだろうか……。野上君の袖を引っ張っている。
「こら。むっちゃん、失礼でしょう。『ガイジン』は、差別用語なのよ。すみませんねぇ」
お手洗いから急いで出て来たのか、ハンカチで手を拭きながら女の子を追いかけてくるお母さんには見覚えがあった。
「あれ? あなた達は……」
この間、お店に来た時にウェイトレスをしていた女の人だった。ということは、この子は彼女の子供だろうか?
「お子さんですか?」
「ええ。私、あまり年相応に見られないのですが、実は三十一でして……。この子は、娘の睦子って言います」
「かわいいですね。むっちゃん、今、何歳ですか?」
むっちゃんへ聞くと、照れてしまったのか、お母さんの後ろに隠れて、無言で指を三本立てていた。
「へえ、三歳。かわいいですね」
「うちは共働きなので、今日は私が保育園へ迎えに行った帰りなんです」
「よろしければ、ご一緒しませんか? お聞きしたいことと、ご報告したいことがあります」
二人の飲み物を注文すると、私は田辺さんの友人の門田さんが突然いなくなったことと、田辺さんの事件が解決していないことを伝えた。
「そうだったんですね」
「あの、一つお聞きしたいことが……」
これも何かの縁だと思い、前から気になっていた田辺さんのバイト先の先輩の彼氏について尋ねてみた。
「うーん、バイト先の先輩って、女性ってことですよね? ここで働いている女性は、私以外に一人しかいないんです。彼女、大学生なんですけど、確か彼氏はいなかったと思います」
「えっ、そんなに少ないんですか?」
「ここのお店の制服のせいか、近所の人はあまり働きたがらないんですよ。時給も都内に比べれば、かなり安いですし」
露出は全くといっていいほどない制服だったが、その代わりにエプロンやスカートにフリルがたくさんついている制服だった。
「その人に、連絡を取っていただくことは可能ですか?」
「ええ。田辺さんへ仕事を紹介したかどうかですよね? 授業中だと思いますが、聞くだけ聞いてみます」
そう言うと、スマホを取り出して早速メールで聞いてくれた。
「ありがとうございます。助かります」
「あら? もう返事が来たわ」
一分もしない内に返事が返ってきたのか、画面をスワイプしてスマホ画面を確認していた。
「やっぱり、彼氏はいないみたいです。田辺さんへ仕事の紹介もしていないって、書いてありますね──そんなこと聞くなら、彼氏を紹介してくださいって、言われちゃいました」
そう言うと、彼女は眉尻を下げた。私がお礼を言うと、彼女は夕飯の支度があるからと言って帰っていった。
「野上君は、自分のこと純日本人って言ってたわよね? 見た目は外国人みたいだけど、カラコンとか、つけてるの?」
野上君はむっちゃんが言った通り、どこか外国人みたいな雰囲気があった。
「つけてる。本当の目の色は茶色っぽい黒」
「ご両親も、日本人なのよね」
「分からない。施設では『ハーフなんじゃないか』って、言われてたけど」
(安倍晴明の生まれ変わりが、まさかのハーフ?!)
「野上君、アイスコーヒーで大丈夫?」
「アイスコーヒーは飲めないから、コーラがいい」
そう言った野上君に、玲奈は信じられないという目を向けていた。
「ガイジンさん?」
コーラがメニューになくてジンジャーエールを頼んでいた野上君は、小さな女の子に声を掛けられていた。三歳くらいだろうか……。野上君の袖を引っ張っている。
「こら。むっちゃん、失礼でしょう。『ガイジン』は、差別用語なのよ。すみませんねぇ」
お手洗いから急いで出て来たのか、ハンカチで手を拭きながら女の子を追いかけてくるお母さんには見覚えがあった。
「あれ? あなた達は……」
この間、お店に来た時にウェイトレスをしていた女の人だった。ということは、この子は彼女の子供だろうか?
「お子さんですか?」
「ええ。私、あまり年相応に見られないのですが、実は三十一でして……。この子は、娘の睦子って言います」
「かわいいですね。むっちゃん、今、何歳ですか?」
むっちゃんへ聞くと、照れてしまったのか、お母さんの後ろに隠れて、無言で指を三本立てていた。
「へえ、三歳。かわいいですね」
「うちは共働きなので、今日は私が保育園へ迎えに行った帰りなんです」
「よろしければ、ご一緒しませんか? お聞きしたいことと、ご報告したいことがあります」
二人の飲み物を注文すると、私は田辺さんの友人の門田さんが突然いなくなったことと、田辺さんの事件が解決していないことを伝えた。
「そうだったんですね」
「あの、一つお聞きしたいことが……」
これも何かの縁だと思い、前から気になっていた田辺さんのバイト先の先輩の彼氏について尋ねてみた。
「うーん、バイト先の先輩って、女性ってことですよね? ここで働いている女性は、私以外に一人しかいないんです。彼女、大学生なんですけど、確か彼氏はいなかったと思います」
「えっ、そんなに少ないんですか?」
「ここのお店の制服のせいか、近所の人はあまり働きたがらないんですよ。時給も都内に比べれば、かなり安いですし」
露出は全くといっていいほどない制服だったが、その代わりにエプロンやスカートにフリルがたくさんついている制服だった。
「その人に、連絡を取っていただくことは可能ですか?」
「ええ。田辺さんへ仕事を紹介したかどうかですよね? 授業中だと思いますが、聞くだけ聞いてみます」
そう言うと、スマホを取り出して早速メールで聞いてくれた。
「ありがとうございます。助かります」
「あら? もう返事が来たわ」
一分もしない内に返事が返ってきたのか、画面をスワイプしてスマホ画面を確認していた。
「やっぱり、彼氏はいないみたいです。田辺さんへ仕事の紹介もしていないって、書いてありますね──そんなこと聞くなら、彼氏を紹介してくださいって、言われちゃいました」
そう言うと、彼女は眉尻を下げた。私がお礼を言うと、彼女は夕飯の支度があるからと言って帰っていった。
「野上君は、自分のこと純日本人って言ってたわよね? 見た目は外国人みたいだけど、カラコンとか、つけてるの?」
野上君はむっちゃんが言った通り、どこか外国人みたいな雰囲気があった。
「つけてる。本当の目の色は茶色っぽい黒」
「ご両親も、日本人なのよね」
「分からない。施設では『ハーフなんじゃないか』って、言われてたけど」
(安倍晴明の生まれ変わりが、まさかのハーフ?!)

