夢で出てきた変なババアを調べてみた結果

 ここまで書いてきて残念なことが二つ。

 一つ目は
 やっぱり右肩が痛くなってきたので、前のページに書いたエピソードを一つ消した。
 実話を書くという事とは、ありがちな話かもしれないが、どこまでが大丈夫なのか線引きが難しい。
 呪われるのは嫌なんだ。
 こうやって少しずつ書いては消してを繰り返して、平気なラインというモノを探っていくしかない。

 でも、今回は、一番駄目そうなやつを一個エピソードを消したから、もう大丈夫。
 今、エピソードとして残している話も、実際に体験した話だけれども痛みは収まったから。
 きっと平気なはずだ。
 まあ、気のせいかもしれないけれど。
 (大丈夫そうな物も、詳しく書けば、それって我が家の話ですよね? なんて怒られても嫌だから、やっぱり詳しくはかかないけれど。でも、建築関連って、意外とそんな怪異エピソードに遭遇することは多いので、集めてみたら建物系で一冊アンソロジー本もつくれるかもね)

二つ目は
母が、あの新聞記事を捨ててしまったこと。
私は、あの山伏の刀剣が発掘されたという記事を切り抜いて大切に保管していた。
私が夢で見た神社とは違う場所だったけれども、何かのヒントになるし、この話の信ぴょう性を高める手助けにもなると思ったから。
でも、母の感じていた恐怖は、私の予想をはるかに上回っていたようだ。
怖くなって、気持ち悪くなって捨てたんだそうだ。

私は、夢の話を母にしていた。
母からすれば、かなり怖い話に違いない。
車酔いして寝ていた小学生の娘が、突然起き出して「神社がある」と言い出すし、本当に神社が出て来るし。
さらに数年経ってから、娘の夢に出てきた話を裏付けるような新聞記事が出て来た。
そんな気持ち悪いものは捨ててしまおうと思うのは、普通の感覚だと思う。
だから、勝手に捨てられたことに驚きはしたし残念ではあったが、母に怒る気にはならなかった。

残念なお知らせは、この二つ。
でも、ここで私は諦める気はなかった。
ここまでは、ネットで調べていただけだったけれども、あの神社に行ってみたらどうだったのだろうと、私はさらに思うようになった。
でも、父はすでに死んでいるし、母は、新聞記事を勝手に捨ててしまうくらいに怯えている。
だから、誰かにあの神社の場所を聞くことは、不可能だった。
ネットの発達していない時代なら、ここで諦めたかもしれない。
でも、有難いことにネットを検索すれば、地図はごまんと出てくる。

私は、家から和歌山県の祖父の家までの間を調べて、神社の位置を割り出すことにした。
子どもの頃の話。
ずいぶんと時間が経っているから、周辺の状況は変わっているかもしれない。
あの時に見た畑は、家が建っている可能性もある。
でも、きっと、あの古びた鳥居も、こんもりとした神社の裏の森も、変わらないと思う。
ネットの地図の写真を見て、私は、神社を探す。
この神社は違う。
こんな風に長い階段はついていなかった。
この神社も違う。
道の位置が違い過ぎる。
違う。これは立派過ぎる。
これは……ううん、違う。
鳥居の素材が石だし、色も違う。
こんな感じで、たくさんの社をネットで見て、夢の記憶と確認した。
そして、ついに見つけた。

これだ……私は、ついに自分が夢で見たあの神社をネットで見つけた。
位置もぴったりだった。
ここならば、和歌山県に行く途中で迷い込んだとしても不思議はない。
調べてみれば、山伏の風習も写真の神社の付近には残っているらしい。
写真で、私は何度も神社を訪れた。

小さな社。
古い鳥居。
黒々とした森。
残念ながら、神社の境内の写真はないから、私が夢で見たあの老婆のいた境内と同じかは分からなかった。

ここまで調べたら、行ってみたくなるのは、人情だと思う。
私は、実際にこの神社に行くことを計画した。