その病気に治療法はありません

だったら視線は気のせいなだと思うことにしたんですけれど、それでもやっぱり気になってコソコソと一目を盗むように買い物を済ませました。
今思えばよく万引きと間違えられなかったなと思います。
それくらい、僕の行動は不審でしたから。
ようやく買い物を終えてアパートまでの道を歩いていた時です。
前方から犬を散歩させている年配の男性が歩いてきたんです。
深めに帽子をかぶったその人は僕とすれ違う寸前にこう言ったんです。
「お前を溶かす」って。
ビックリしました。
急に見知らぬ人に声をかけられたことも衝撃でしたけれど、その内容も意味不明で咄嗟には反応できなくて棒立ちになってしまいました。