タイトル:
『ゆめこちゃんって女の子の夢を見た』
投稿者:
カマキリ
投稿日:
2026/01/13
ちょっと前の話。そういえばこれ書いてなかったと思うんで書いておきまっす。
いやほんと、明るく振る舞ってるけど実はけっこービビってて。いや俺がびびりだからこういう夢見たのかもしんねーけどさー。
えっと、俺、親の実家が結構なド田舎なのね。とりあえず関西の、K村とだけ言っておく。流石に本当に地名出すのもやべーし。
ちょっと厳しいじーちゃんばーちゃんだから、今年もきっと「いつまでフリーターやってんだ」とか「いい加減結婚してひ孫の顔見せろ」とか言われそうなんだけどさあ。まあでも、子供の頃はいっぱい遊んでもらった記憶もあるしね。それに年末年始にばーちゃんたちの家に行くのはいつものことだから、まあ今年も毎年恒例のことってことで行くことにしたわけ。
ちなみにK村についてだけど、昔はなんかちょっと因習?みたいなのがあったって噂がある。O家っていう神主さんの一族と、それを補佐するI家が村を支えてたんだと。で、村に災厄が降りかかりそーってなった時は、この二つの家が結託して儀式をすることで災厄を退けてたんだってさ。
その儀式の内容は、その二つの家しか知らない。I家はもうなくなっちゃっててO家しか残ってないしね。田舎の村の儀式って聞いただけでもうヤバげな雰囲気ぷんぷんするじゃん?だからどういう儀式なのかってみんなに聞いてはみたんだけど、マジでこの二つの家の関係者しか知らないらしくて誰も彼も「知らん」って答えしか返ってこなかったんだわ。
ただ、その儀式の内容は『神様を作る』ってことらしい。
その神様は、I家の子供達が力を結集して作る。だから神様を作ることができる子供達のことを、神を保つ者――『神保』って呼んでたんだと。どうやって神様を作り作られた神様をどうするのかについてはまったくわからなかったんだけども。
その儀式が最後に行われたのは、戦時中のことらしい。
室町とかそれくらいの頃からずっと続いてる儀式だったけど、戦争が始まるまで長いこと行われてなかったらしい。それまで村が平穏で、特に大きな災害に見舞われることもなかったらしいけど。
だから戦争が起きて、何が何でも鬼畜米英に勝たなければ!みたいになった時に、I家の人たちが儀式のやり方を引っ張り出してきたって話だ。O家の子供達と一緒に、戦争が勝てるように、そして村が鬼畜米英から守られるようにって久しぶりに儀式をしたんだと。
それが成功したかどうかは知らん。
大体、ばーちゃんだって生まれる前のことだから人伝にしか聞いたことがないって話だったしな。
それ以降儀式は行われていない。でもってやり方はO家と、なくなったI家しか知らないってことらしい。――気になるのは、戦時中まであったI家がなんで滅んじゃったんだろうってことだけど。この村、空襲被害とかなかったはずなんだけどな。I家の屋敷、今では廃屋になっててお化け屋敷みたいになってるし。
とまあ、そういうちょっといわくつきの村だってことだ。でも、はっきり言ってそういう儀式とかなんとかに関わってたのはほんの一部の人だけだから、大半の人は「因習村って言われてもねえ」ってかんじじゃなかろうか。もちろん、小さな家の娘で、学生の頃から東京に出てる母さんやその旦那である父さんが何かを知ってるはずもない。
俺もそういう村なんだーくらいの認識しかなかった。だって、普段は田んぼと森が広がってるだけの、すっげー穏やかな村だしな。広いけど、人口は千人もいないって聞いてるし。
えっと、何は書こうとしたんだっけか。――いやごめん、村の説明書いてたら書こうとしたこと吹っ飛びかけたわ。
あ、そうだそうだ。やべー夢を見たって話だった。
駅からバスで一時間くらい揺られてやっと着くような村。毎年のように年末に親の実家に帰った俺は、いつものようにばーちゃんたちの大掃除の手伝いをした。あと、これでも料理は得意な方なんで、おせち料理作るもの手伝ったんだぜ。ほら、料理ブログあげてんじゃん?あれくらいのことは俺でもできるからさー。
三十日に到着して、まさにその日の夜のことだったんだ。変な夢を見たのは。
それは、ゆめこちゃんって女の子が出て来る夢だった。
ああ、彼女の視点になってんじゃなくて、彼女とその家族の様子を俯瞰して見てるってかんじだな。
まず彼女が生まれる前。若い夫婦が、神主さんぽい人に言われてんのね。
『もうすぐこの村に、この国に大いなる災いが降り注ぎます。異国の鬼を退治するためには時間がありません。I家の皆さんは、お役目を果たされますよう』
『そんなこと言われても、私達、まだ結婚したばかりで。そんな時間は……』
『援助はいたします。子育ても手伝いましょう。必要がなくなればそれで良いのです。急ぎ、かみたもつの子を作りなさい。五人です。必ず五人必要なんです』
『わ、わかりました……』
なんかI家の人たちが、さっさと子供を作れって叱られてる図だったっぽい。かみたもつ――この村を災いから守る力を持つ子供達。それをさっさと作れって言われてるのがなんというか、倫理観ねえなっていうか。
それから場面がとんで、奥さんが赤ちゃんをあやしてる景色になった。奥さんは悲しそうな顔で「夢子ちゃん、夢子ちゃん」って女の子を呼んでる。たしか、こう言ってた。
『お母さんは、祈ってるからね。あなたが、神保としての仕事をしなくてもいいように。そんな時が来ないことを、心から祈ってるからね。どうか、どうか、そうならないようにあなたも祈っていてね……』
さらに場面が飛んだ。庭で、ちょっと大きくなった夢子ちゃんが遊んでる。その周りには、他にも兄弟たちがいた。ボール遊びをしてるっぽかった。夢子ちゃんが一番大きくて、他にも男の子一人、女の子一人いたと思う。でもって、奥さんの手にはもう一人赤ちゃんが抱っこされてたっぽかった。
庭で遊ぶ子供達を見て、縁側に座ってるのが赤ちゃんを抱っこしている奥さん。寄り添ってるのが旦那さんだった。
『美代。よく、頑張ってくれたね。五人も産むのは大変だっただろうに』
『……それが、I家に生まれた女の務めですから。むしろ、あなたはこんな家に婿入りしたこと、後悔しているのではないですか。普通の家に婿に入るか、あるいは嫁を貰っていれば恐ろしいものなど何も見ずに済んだのに』
わたしは恐ろしいのです、と線の細そうな奥さんは言ってた。
『いつか、その時が来てしまうのが恐ろしい。O家の方の予言が当たってしまったらその時は、わたしはあの子たちを贄として差し出さなければならなくなります』
『美代。辛いのはわかるが、贄だなんて言っちゃいけない。神保、だ。……おかしな言い方を選んだら最後、何を言われるかわかったもんじゃないぞ』
『わかっています。わかってはいるのです。でも、心が追い付かないのです。だって、それがわかっていて子供を作り、産んだというのに……それを最初から覚悟していたはずなのに、生まれた子供達はみんな可愛いのです。誰も死んで欲しくないのです。惨劇が起きないでほしいと、そう願うことの何が罪だというのでしょう?』
神保は、贄。
あーなんかヤバそう、って思ったのは俺もそう。明らかに、なんか因習村特有のやばう儀式の話してるな、って。
あくまで俺の夢だ。でもって、俺は今まで、そんな強い霊感があったとかそういうわけでもない。だから、本当にこんなことがあったかどうかなんてわからねえ。
でも、なんか、この時はきっとこれ、本物なんだろうなって思ったんだよな。
これはこの村で、過去に実際起きた話かもしれない、って。
『ゆめこちゃんって女の子の夢を見た』
投稿者:
カマキリ
投稿日:
2026/01/13
ちょっと前の話。そういえばこれ書いてなかったと思うんで書いておきまっす。
いやほんと、明るく振る舞ってるけど実はけっこービビってて。いや俺がびびりだからこういう夢見たのかもしんねーけどさー。
えっと、俺、親の実家が結構なド田舎なのね。とりあえず関西の、K村とだけ言っておく。流石に本当に地名出すのもやべーし。
ちょっと厳しいじーちゃんばーちゃんだから、今年もきっと「いつまでフリーターやってんだ」とか「いい加減結婚してひ孫の顔見せろ」とか言われそうなんだけどさあ。まあでも、子供の頃はいっぱい遊んでもらった記憶もあるしね。それに年末年始にばーちゃんたちの家に行くのはいつものことだから、まあ今年も毎年恒例のことってことで行くことにしたわけ。
ちなみにK村についてだけど、昔はなんかちょっと因習?みたいなのがあったって噂がある。O家っていう神主さんの一族と、それを補佐するI家が村を支えてたんだと。で、村に災厄が降りかかりそーってなった時は、この二つの家が結託して儀式をすることで災厄を退けてたんだってさ。
その儀式の内容は、その二つの家しか知らない。I家はもうなくなっちゃっててO家しか残ってないしね。田舎の村の儀式って聞いただけでもうヤバげな雰囲気ぷんぷんするじゃん?だからどういう儀式なのかってみんなに聞いてはみたんだけど、マジでこの二つの家の関係者しか知らないらしくて誰も彼も「知らん」って答えしか返ってこなかったんだわ。
ただ、その儀式の内容は『神様を作る』ってことらしい。
その神様は、I家の子供達が力を結集して作る。だから神様を作ることができる子供達のことを、神を保つ者――『神保』って呼んでたんだと。どうやって神様を作り作られた神様をどうするのかについてはまったくわからなかったんだけども。
その儀式が最後に行われたのは、戦時中のことらしい。
室町とかそれくらいの頃からずっと続いてる儀式だったけど、戦争が始まるまで長いこと行われてなかったらしい。それまで村が平穏で、特に大きな災害に見舞われることもなかったらしいけど。
だから戦争が起きて、何が何でも鬼畜米英に勝たなければ!みたいになった時に、I家の人たちが儀式のやり方を引っ張り出してきたって話だ。O家の子供達と一緒に、戦争が勝てるように、そして村が鬼畜米英から守られるようにって久しぶりに儀式をしたんだと。
それが成功したかどうかは知らん。
大体、ばーちゃんだって生まれる前のことだから人伝にしか聞いたことがないって話だったしな。
それ以降儀式は行われていない。でもってやり方はO家と、なくなったI家しか知らないってことらしい。――気になるのは、戦時中まであったI家がなんで滅んじゃったんだろうってことだけど。この村、空襲被害とかなかったはずなんだけどな。I家の屋敷、今では廃屋になっててお化け屋敷みたいになってるし。
とまあ、そういうちょっといわくつきの村だってことだ。でも、はっきり言ってそういう儀式とかなんとかに関わってたのはほんの一部の人だけだから、大半の人は「因習村って言われてもねえ」ってかんじじゃなかろうか。もちろん、小さな家の娘で、学生の頃から東京に出てる母さんやその旦那である父さんが何かを知ってるはずもない。
俺もそういう村なんだーくらいの認識しかなかった。だって、普段は田んぼと森が広がってるだけの、すっげー穏やかな村だしな。広いけど、人口は千人もいないって聞いてるし。
えっと、何は書こうとしたんだっけか。――いやごめん、村の説明書いてたら書こうとしたこと吹っ飛びかけたわ。
あ、そうだそうだ。やべー夢を見たって話だった。
駅からバスで一時間くらい揺られてやっと着くような村。毎年のように年末に親の実家に帰った俺は、いつものようにばーちゃんたちの大掃除の手伝いをした。あと、これでも料理は得意な方なんで、おせち料理作るもの手伝ったんだぜ。ほら、料理ブログあげてんじゃん?あれくらいのことは俺でもできるからさー。
三十日に到着して、まさにその日の夜のことだったんだ。変な夢を見たのは。
それは、ゆめこちゃんって女の子が出て来る夢だった。
ああ、彼女の視点になってんじゃなくて、彼女とその家族の様子を俯瞰して見てるってかんじだな。
まず彼女が生まれる前。若い夫婦が、神主さんぽい人に言われてんのね。
『もうすぐこの村に、この国に大いなる災いが降り注ぎます。異国の鬼を退治するためには時間がありません。I家の皆さんは、お役目を果たされますよう』
『そんなこと言われても、私達、まだ結婚したばかりで。そんな時間は……』
『援助はいたします。子育ても手伝いましょう。必要がなくなればそれで良いのです。急ぎ、かみたもつの子を作りなさい。五人です。必ず五人必要なんです』
『わ、わかりました……』
なんかI家の人たちが、さっさと子供を作れって叱られてる図だったっぽい。かみたもつ――この村を災いから守る力を持つ子供達。それをさっさと作れって言われてるのがなんというか、倫理観ねえなっていうか。
それから場面がとんで、奥さんが赤ちゃんをあやしてる景色になった。奥さんは悲しそうな顔で「夢子ちゃん、夢子ちゃん」って女の子を呼んでる。たしか、こう言ってた。
『お母さんは、祈ってるからね。あなたが、神保としての仕事をしなくてもいいように。そんな時が来ないことを、心から祈ってるからね。どうか、どうか、そうならないようにあなたも祈っていてね……』
さらに場面が飛んだ。庭で、ちょっと大きくなった夢子ちゃんが遊んでる。その周りには、他にも兄弟たちがいた。ボール遊びをしてるっぽかった。夢子ちゃんが一番大きくて、他にも男の子一人、女の子一人いたと思う。でもって、奥さんの手にはもう一人赤ちゃんが抱っこされてたっぽかった。
庭で遊ぶ子供達を見て、縁側に座ってるのが赤ちゃんを抱っこしている奥さん。寄り添ってるのが旦那さんだった。
『美代。よく、頑張ってくれたね。五人も産むのは大変だっただろうに』
『……それが、I家に生まれた女の務めですから。むしろ、あなたはこんな家に婿入りしたこと、後悔しているのではないですか。普通の家に婿に入るか、あるいは嫁を貰っていれば恐ろしいものなど何も見ずに済んだのに』
わたしは恐ろしいのです、と線の細そうな奥さんは言ってた。
『いつか、その時が来てしまうのが恐ろしい。O家の方の予言が当たってしまったらその時は、わたしはあの子たちを贄として差し出さなければならなくなります』
『美代。辛いのはわかるが、贄だなんて言っちゃいけない。神保、だ。……おかしな言い方を選んだら最後、何を言われるかわかったもんじゃないぞ』
『わかっています。わかってはいるのです。でも、心が追い付かないのです。だって、それがわかっていて子供を作り、産んだというのに……それを最初から覚悟していたはずなのに、生まれた子供達はみんな可愛いのです。誰も死んで欲しくないのです。惨劇が起きないでほしいと、そう願うことの何が罪だというのでしょう?』
神保は、贄。
あーなんかヤバそう、って思ったのは俺もそう。明らかに、なんか因習村特有のやばう儀式の話してるな、って。
あくまで俺の夢だ。でもって、俺は今まで、そんな強い霊感があったとかそういうわけでもない。だから、本当にこんなことがあったかどうかなんてわからねえ。
でも、なんか、この時はきっとこれ、本物なんだろうなって思ったんだよな。
これはこの村で、過去に実際起きた話かもしれない、って。



