静岡県立安久中学校にて行われた実験の記録

【学級担任日誌】
記載者  :森下明文
所属   :静岡県立安久中学校
     :学校運営委員
担当学級 :2年2組
授業年月日:9月30日(金曜日)
出席生徒数:28名
欠席生徒数:なし
早退生徒数:なし
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特記要項:特別補修から復帰した2名に関し、授業において非常に明るく前向きな様子が見られている。しかしそれに関し、学級委員の金田他数名から抗議を受けた。

感想等:朝のHRにて、私は補修から復帰した2名の変化のすばらしさに関して、他の生徒たちに大々的に説明を行った。補修前と比べてどれだけ優秀になったか、どれだけ明るくなったか、どれだけ前向きになったかについてだ。ただ、他の生徒には私の言葉はあまり刺さらなかった様子で、HR後に金田ら複数の生徒から抗議をうけてしまった。金田は私に、「先生も僕たちに何かを隠してる。本当の事を教えてほしい」と口にした。金田はやや興奮している様子だったので、私は努めて冷静に、それでいて笑顔で「みんなが幸せになるんだよ。なにも疑う必要はないよ」と言葉を伝えた。それに対し金田は、「昨日、なにか不気味なものが教室に撒かれている気がした。昨日だけ、教室の湿度が異様に高かった。あと、露結が窓の外側に起こっていた。普通は内側に起こるものなのに。だから、もしかしたら、温室性の水蒸気を吸収するような”なにか”が教室に撒かれているんじゃないかと思った。違いますか?」と言葉を発し、私に詰め寄った。
その言葉に、私は深く感動を覚えた。まさか金田がここまで実験計画通りの行動を見せてくれるとは思ってもいなかったからだ。私は震える口調を何とか隠し、「金田も、もう幸せになっているじゃないか。私はうれしいよ」と伝えるにとどめ、あふれる思いをこらえるのに必死だった。金田はその言葉に納得した様子は全く見せず、むしろこれまで以上に私の事を疑り深い目で見るようになったが、何ら問題ではない。我々を疑うその行動さえ、委員によって仕組まれた実験の結果なのだから。