コトリカゴ

「――カァー。カァー……」

 待っていた時間、更に日が落ちる。空が夕闇に染まり掛ける中、カラスの鳴き声が聞こえた。

「阿切さんに訊きたいことがあって」

「――横井のじいさんのこと、やろ?」

 全てを言う前に言い当てられ、食い気味に答える。

「は、はい! そうなんです」

 前のめり目で言う俺を見て、はははと笑われた。

「いつか来るやろなーとは思ってたけど。予想外に食い付いがええから笑ってしもたわ。ごめんな。まぁ、そりゃそうやわな。あんなん見て何も聞かされんと帰されて、気にするなって無理な話やもんなぁ」

 くくと笑いを噛み殺して、もう一度悪い悪いと謝られた。

「せやなぁ。柊雨君は見てしもたから、全部話してもええんやけど。全く知らん感じ?」

「えっと……。村の言い伝えと、奇病については、さらりと教えてもらいました」

 そう言ってざっくりと、息子さんから聞いた話を伝える。

「なるほど。言うたらそれが全てにはなるんやけど。じゃあ柊雨君が訊きたいことを、答えよか」

「はい。ありがとうございます」

 まずお礼を言ってから、ひとつ目の疑問を訊ねた。


「えっと。昔に災いがあって、それは鎮められたんですよね? それなのに奇病があるのは、どうしてなんですか?」

「うんうん。ええ質問やねー。まぁざっくり単刀直入に言うと、それは代償やね」

「代償……?」

「そう。聞いたとは思うけど、その昔の災いを鎮める為。いや、その災いの原因は双子にあるって言われた訳やん? だから双子の片割れが捧げられた。つまりはその子が生贄となったことで、災いは消えた。せやけどその代償として、奇病が発症するようになってしまった。と言うことやね」

「災いが鎮まるのと引き換えに、ってことですか?」

「そうそう。だって考えてみ? その子からしたら、言われもない原因はあんたのせいやって言われ、死にたくもないのに命を奪われたんやから。そりゃ許されへんよなぁ。代償って言えばまだ優しく聞こえるかも知れへんけど、僕はその子の “呪い” やと思ってるよ」

 ――呪い。

 それは何とも非現実的で、非科学的な言葉。
 その言葉だけで一気にオカルトチックに、心霊的な話になる。

 この手の話をあまり信じていない俺からすると、嘘くさいなと思ってしまう。しかし横井のじいちゃんを見てしまった事実があるので、完全にそうは思えなかった。