コトリカゴ

 昼休みになりお弁当を食べ終えた頃には、智喜は元気になっていた。でも宣言していた通り、午前の授業はほぼ寝ていて、一度だけ先生に起こされていた。

 そして6時間目。担任の教科と言うこともあり、授業は中断して、来たる球技大会のチーム分けが行われていた。
 学級委員が前に出て、進行が始まる。

 球技大会の種目はキックベースボール、バレー、バスケ、サッカーの4種目。
 まずは志願と推薦があり、それぞれの部活動をしているクラスメイト達がそこに組み込まれた。
 その中に智喜は当然入り――

「はーい。俺バスケやる」

 手を挙げ、自らで志願する。それを聞いて副委員長が黒板に、岩永と名前を書く。

「岩永が入れば、バスケは優勝間違いないな」

「よっ! 未来のホープ」

 周りから声が上がり、智喜はまぁまぁと宥めるような仕草をする。

「バスケはひとりしか決まってない状況だけど。岩永君が推薦する人、誰かいる?」

 委員長からの質問にうーんと悩んだ後、何故かパッと俺と目を合わせた。

「芳野を推薦しまーす」

「え?」

 突然の指名に思わず声を出してしまう。特にこの種目にと決まっていなかったので、智喜に困惑した目を向けると、にひひと意地悪な笑いが返された。

「推薦されてるけど、芳野君はどう?」

 委員長に確認されると、クラス全員の視線が一斉に俺に集まる。

「あ……。じゃあ……バスケで」

 断れない空気にそう答えると、黒板に俺の名前が書かれた。


 ――残りはまだ決まっていない人達が決める時間となり、教室内は騒がしくなる。クラスメイト達が立ち回ってがやがやとなる中、俺は智喜の元に向かった。

 回りの席の奴らと喋っていた智喜は、俺に気付いてにっと笑う。

「球技大会、よろしくな」

「何で俺を指名したんだ? そんなうまい訳じゃないけど」

 空いていた隣の椅子に座り、真意を訊いてみる。

「よくぞ訊いてくれました。柊雨を選んだのには、ふたつ理由がある」

「ふたつも?」

「そっ。まずはひとーつ。柊雨の身長の高さは武器になる」

 確かに俺は身長は高い方で、180cmはある。
 とは言えバスケは体育の授業でしたくらいで、武器になると言われても活かせる自信はない。

「そして。ふたつめ。これが一番重要な」

 そう言って、智喜はにかっと笑った。

「赤ちゃんの時からの付き合いだからな。意思疎通はバッチリだろ?」

 そんなことを言われては、文句も言えない。それに恥ずかしくはあるが、親友にこんなことを言われて嬉しい気持ちもある。

「当日は精一杯頑張るよ」

「頼りにしてるぞ、相棒」