莎菜の家に着くと、庭でお母さんが名前を叫んで探していた。
「お母さん!」
「あ、莎菜」
莎菜が母親の元に走っていって、話をしている。自転車を止めてから、俺もそこに合流した。
「柊雨君。今日も莎菜のこと、ありがとうね」
「いえ。それより俺も維織君を探します」
「本当に? でも助かるわ」
ありがとうと微笑む顔に、いつもの明るさはない。不安と憔悴が滲み出ていて、一刻も早く見付けなければと思った。
「家の中にはいないんだよね?」
「そうね。お風呂の中とかトイレとか、隅々まで見たけどいなくて。靴がないから外に出たんだと思うんだけど……」
「外……」
莎菜が不安そうな声を出して、辺りを見渡す。広い庭は一望出来たが、小さな男の子の姿はない。
「完全に日が落ちたら危険です。ないと思いますが、道の向こうの山の方を探します」
「私、懐中電灯持ってくる」
パッとこの場を離れ、莎菜が大きめの懐中電灯を持って戻ってきた。
「柊雨君、ごめんね。お願いしてもいい?」
「もちろんです」
「私も柊雨君と一緒に行ってくる」
「分かったわ。ふたり共くれぐれも気を付けてね」
「はい」
もう少し家の周辺を探すお母さんと別れ、ふたりで道へと出る。
道沿いには畑や田んぼがあるが、その向こう側は木々の生える林になる。中に入れば日中でも薄暗くなる程木が群がっていて、日が落ちかけている今、もう明かりなしでは進めないだろう。
もし維織が林の中に入ってしまっていたら。出れなくなって迷い込んでしまっていたら、事態は最悪だ。
俺でも深い所まで入ってしまえば、同じような景色が続く林を、迷わず出てこれる自信はない。
しかも今のこの季節。野生動物の動きも活発になっている――。
色んな不安と心配が、嫌でも頭を掠める。どうか無事で、早く見付かることを祈りながら、懐中電灯を受け取った。
「行こう。俺から絶対離れないで」
「うん」
先頭を歩き、林に足を入れる。そんな俺の後を、不安に押し潰されそうな莎菜が付いてきた。
「お母さん!」
「あ、莎菜」
莎菜が母親の元に走っていって、話をしている。自転車を止めてから、俺もそこに合流した。
「柊雨君。今日も莎菜のこと、ありがとうね」
「いえ。それより俺も維織君を探します」
「本当に? でも助かるわ」
ありがとうと微笑む顔に、いつもの明るさはない。不安と憔悴が滲み出ていて、一刻も早く見付けなければと思った。
「家の中にはいないんだよね?」
「そうね。お風呂の中とかトイレとか、隅々まで見たけどいなくて。靴がないから外に出たんだと思うんだけど……」
「外……」
莎菜が不安そうな声を出して、辺りを見渡す。広い庭は一望出来たが、小さな男の子の姿はない。
「完全に日が落ちたら危険です。ないと思いますが、道の向こうの山の方を探します」
「私、懐中電灯持ってくる」
パッとこの場を離れ、莎菜が大きめの懐中電灯を持って戻ってきた。
「柊雨君、ごめんね。お願いしてもいい?」
「もちろんです」
「私も柊雨君と一緒に行ってくる」
「分かったわ。ふたり共くれぐれも気を付けてね」
「はい」
もう少し家の周辺を探すお母さんと別れ、ふたりで道へと出る。
道沿いには畑や田んぼがあるが、その向こう側は木々の生える林になる。中に入れば日中でも薄暗くなる程木が群がっていて、日が落ちかけている今、もう明かりなしでは進めないだろう。
もし維織が林の中に入ってしまっていたら。出れなくなって迷い込んでしまっていたら、事態は最悪だ。
俺でも深い所まで入ってしまえば、同じような景色が続く林を、迷わず出てこれる自信はない。
しかも今のこの季節。野生動物の動きも活発になっている――。
色んな不安と心配が、嫌でも頭を掠める。どうか無事で、早く見付かることを祈りながら、懐中電灯を受け取った。
「行こう。俺から絶対離れないで」
「うん」
先頭を歩き、林に足を入れる。そんな俺の後を、不安に押し潰されそうな莎菜が付いてきた。

