話を切り出したと同時に音が鳴る。今人気のグループの曲が流れたことで、莎菜のスマホが鳴ったんだと分かった。
「ごめん、電話だ」
「ううん」
一旦話は中断し、莎菜は立ち上がって階段を下りていく。自転車のカゴに入った鞄の中からスマホを出し、画面を見ておや? と言う表情をした。
「お母さんからだ」
そう言ってから、電話に出る。
「もしもし。どうしたの?」
最初こそ明るい声で訊ねていたが、すぐに声のトーンが下がる。徐々に緊迫性が増してきて、分かったと言って切った頃には、泣きそうになっていた。
「柊雨君」
スマホを握り締め、こっちを見る莎菜は、焦りに切迫した顔をしていた。俺は急ぎ立ち上がり、彼女の元に駆け寄る。
「何かあった?」
「維織、維織が幼稚園から帰って。でもいなくて」
動揺からか、話が纏まっていない。まずは落ち着かせようと、莎菜の手を取った。
「大丈夫。まずはゆっくり深呼吸して」
急かすことはせず、こちらは落ち着いた態度を取る。後は優しく声を掛けると、莎菜は言われた通りに深呼吸を繰り返した。
やがて気持ちが落ち着いたのか。まっすぐに俺の目を見て口を開いた時には、ちゃんと言葉が伝わった。
「幼稚園から帰って来て、最初は家の中で遊んでたらしいんだけど。お母さんが洗濯機を回してリビングに戻ったら、維織の姿がなくなってて。家の中とか外を探したけど、何処にもいないって」
「え……」
まさかに一瞬こっちも動揺してしまった。頭の中に、昨日楽しそうに笑っていた維織の顔が浮かぶ。
「それで、一緒に探して欲しいって」
「分かった。急いで帰ろう」
「うん」
自転車のスタンドを上げ、サドルを跨ぐ。暗くなってきた道を大急ぎで、莎菜の家に向かって走り出した。
「ごめん、電話だ」
「ううん」
一旦話は中断し、莎菜は立ち上がって階段を下りていく。自転車のカゴに入った鞄の中からスマホを出し、画面を見ておや? と言う表情をした。
「お母さんからだ」
そう言ってから、電話に出る。
「もしもし。どうしたの?」
最初こそ明るい声で訊ねていたが、すぐに声のトーンが下がる。徐々に緊迫性が増してきて、分かったと言って切った頃には、泣きそうになっていた。
「柊雨君」
スマホを握り締め、こっちを見る莎菜は、焦りに切迫した顔をしていた。俺は急ぎ立ち上がり、彼女の元に駆け寄る。
「何かあった?」
「維織、維織が幼稚園から帰って。でもいなくて」
動揺からか、話が纏まっていない。まずは落ち着かせようと、莎菜の手を取った。
「大丈夫。まずはゆっくり深呼吸して」
急かすことはせず、こちらは落ち着いた態度を取る。後は優しく声を掛けると、莎菜は言われた通りに深呼吸を繰り返した。
やがて気持ちが落ち着いたのか。まっすぐに俺の目を見て口を開いた時には、ちゃんと言葉が伝わった。
「幼稚園から帰って来て、最初は家の中で遊んでたらしいんだけど。お母さんが洗濯機を回してリビングに戻ったら、維織の姿がなくなってて。家の中とか外を探したけど、何処にもいないって」
「え……」
まさかに一瞬こっちも動揺してしまった。頭の中に、昨日楽しそうに笑っていた維織の顔が浮かぶ。
「それで、一緒に探して欲しいって」
「分かった。急いで帰ろう」
「うん」
自転車のスタンドを上げ、サドルを跨ぐ。暗くなってきた道を大急ぎで、莎菜の家に向かって走り出した。

