何ともふんわりと曖昧に答えたから、これ以上は訊かない方がいいと思ってくれたのだろう。それについて言及はなかったが、起き上がった智喜は真剣な顔を向けてきた。
「でもさ。今回ちょっとヤバくね?」
心配と不安の混じる表情に、ヤバさが込められる。
「出張とは言え、お父さん。葬儀に参列しなかった訳だし」
「――智喜ぃ。いるかー?」
何とも言えない空気を破ったのは、智喜のお父さんの声だった。部屋の引き戸を開けて、智喜がなに~? と叫ぶ。
「お下がりもらって来たの、運ぶの手伝ってくれ」
「えー。今、柊雨来てんだけど」
息子使いが荒いなぁと文句を言いながら、立ち上がる。
「悪い。ちょっと行ってくる」
「大丈夫。気にせず行ってきて」
そう言うと智喜は部屋を出て、廊下を歩いていく音が聞こえてくる。
ゲームを付けっぱなしでいたので、画面にはデモプレイが流れていた。ぎこちない動きで戦っているキャラを、ぼんやりと見つめる。
――智喜からの指摘は、俺自身も考えていたことだった。
途中から参列した莎菜のお父さんでさえ、あんなに嫌味を言われた。
だとしたら通夜だけでなく、葬式も参列しなかった父親は、どれだけの誹謗を浴びせられるのだろう?
だからこそ一度、父親の業が母親に向けられた。あの時はハプニングがあって流れたが、あのまま続いていたらどうなっていたことか――。
白川さんに対して怒りではなく、父親に対してもやもやしてしまう。きっと母親から連絡はあっただろうに、それでも参列しない選択を取ったのには、よっぽどの理由があるのだろうか?
……そんなに大事な出張?
湧き出た疑問に眉を寄せた時、引き戸が開いた。
「どら焼きもらって来たから食べよーぜ」
「あぁ。サンキュ」
受け取って、封を開ける。
「もう一戦しよーぜ」
「次は負けないからな」
このもやもやをぶつけたい。
憂さを晴らしたい、そんな気分だった。だから自分の得意なキャラを選び、どら焼きを一口かじった。
「でもさ。今回ちょっとヤバくね?」
心配と不安の混じる表情に、ヤバさが込められる。
「出張とは言え、お父さん。葬儀に参列しなかった訳だし」
「――智喜ぃ。いるかー?」
何とも言えない空気を破ったのは、智喜のお父さんの声だった。部屋の引き戸を開けて、智喜がなに~? と叫ぶ。
「お下がりもらって来たの、運ぶの手伝ってくれ」
「えー。今、柊雨来てんだけど」
息子使いが荒いなぁと文句を言いながら、立ち上がる。
「悪い。ちょっと行ってくる」
「大丈夫。気にせず行ってきて」
そう言うと智喜は部屋を出て、廊下を歩いていく音が聞こえてくる。
ゲームを付けっぱなしでいたので、画面にはデモプレイが流れていた。ぎこちない動きで戦っているキャラを、ぼんやりと見つめる。
――智喜からの指摘は、俺自身も考えていたことだった。
途中から参列した莎菜のお父さんでさえ、あんなに嫌味を言われた。
だとしたら通夜だけでなく、葬式も参列しなかった父親は、どれだけの誹謗を浴びせられるのだろう?
だからこそ一度、父親の業が母親に向けられた。あの時はハプニングがあって流れたが、あのまま続いていたらどうなっていたことか――。
白川さんに対して怒りではなく、父親に対してもやもやしてしまう。きっと母親から連絡はあっただろうに、それでも参列しない選択を取ったのには、よっぽどの理由があるのだろうか?
……そんなに大事な出張?
湧き出た疑問に眉を寄せた時、引き戸が開いた。
「どら焼きもらって来たから食べよーぜ」
「あぁ。サンキュ」
受け取って、封を開ける。
「もう一戦しよーぜ」
「次は負けないからな」
このもやもやをぶつけたい。
憂さを晴らしたい、そんな気分だった。だから自分の得意なキャラを選び、どら焼きを一口かじった。

