コトリカゴ

 翌日の葬式は朝からだった為、俺はもちろん、智喜も莎菜も学校を休んだ。

 また朝早くから手伝いに行った母親とは会うこともなく。用意されていた朝ご飯を食べてから、横井の家に向かった。


 9時半から始まる葬儀に10分前に着くと、もう家の中は村人が集まっていた。
 昨日と同じように受け付けをしていた智喜に挨拶をして、居間の後ろの方の座布団に座った。

 莎菜は家族で来て、今日は始まりからお父さんの姿があった。目が合った彼女に手を振って、葬儀の始まりを待つ。

 やがて白川さんと阿切さんがやって来て、息子さんの挨拶がされる。葬儀が始まり、智喜が隣に座った。

「ギリギリセーフ」

 小声で言って、小さい動作のセーフがされる。

「受け付け大変だったのか?」

「うんにゃ。ゆき兄がめちゃギリギリに来たから」

 苦笑して、後ろを振り返った智喜の視線の先。一番後ろで、面倒くさそうに参加するゆき兄がいた。俺と智喜の視線に気付き、いえーいとピースが向けられる。
 葬式と言う場違いな振る舞いに、苦笑が零れた。

 万が一にも白川さんに見られたりしたら、後が面倒だぞ。と思いながら、そんなことを意に介さないところは、ゆき兄らしかった。

 顔を正面に戻して、智喜と笑い合う。それから居住まいを正して、読まれるお経に耳を傾けた。


 昨日とほぼ同じ内容が執り行われ、御神酒入れが割れると言ったハプニングもなく、無事に葬儀が終わった。

 ただ最後に焼香をするゆき兄を見た白川さんが、何か言いたげだったのを除いて。


「えー、後の火葬場には家族だけで向かいますので、皆様はここで解散となります。本日はありがとうございました。お昼はご用意させてもらいましたので、食べてもらって、帰って下さい」

 息子さんの挨拶が終わり、横井家と白川さん、阿切さんは用意していた車に棺を乗せ、火葬場へと向かった。

 それから長い机を運ぶなどの手伝いをして、各々好きな場所に座り、お昼を食べ始める。

「昼はカレーをリクエストしといたんだよ。柊雨も食べるだろ?」

「うん」

「ゆき兄は? 食べるならよそってくるよ」

「食う食う。サンキュー」

 智喜とゆき兄の3人で集まっていた俺は、カレーをもらいに立つ。智喜と一緒に台所へ行き、大盛りのカレーをみっつ用意した。

「柊雨。ついでにこれ持っていってくれる?」

「分かった」

 揚げたての天ぷらが乗る皿を受け取る。

 まだ台所では俺の母親含め、他の女の人達がお昼の用意をしていた。