少し遅れて阿切さんがやって来る。いつもは白色の袈裟ではあるが、今日は葬儀と言うことで黒色に変わっていた。
ただそれ以外はいつも通り。親しみやすい笑顔で村の人と挨拶を交わしながら、飄々と居間に座る人達の間を抜けていく。
阿切さんにとって昨日のことは、不思議なことではなかったのかな……?
俺からすれば初めての光景だったからこそ、考えずにはいられないし、忘れられるものでもない。
でも阿切さんに驚く様子はなかったし、何なら手慣れた感じがあった。
と言うことは少なくとも何回かは、あんな状況を前にしたことがあるんだろうか――?
その考えに行き着いて、ふと。あることを思い出す。
そう言えば阿切さんは、代々の中でもかなり強い霊能力者だって言われていたような……。
と、突然わざとらしい咳払いが聞こえる。正面に顔を上げると、白川さんが話を始めようとして皆の前に立っていた。
パツパツに張った喪服が、彼の体型を物語っている。
「えー。ではこれより横井吉蔵の通夜を執り行っていきます」
それに続いて息子さんが頭を下げ、お集まり頂きありがとうございますと、始まりの挨拶がされた。
そこにギリギリ間に合った莎菜達家族が、最後列に座る。しかしお父さんの姿はない。
受け付けを終えた智喜も来て、空いていた俺の隣に座った。
「お疲れ」
「サンキュ」
小声で労うと、智喜がにかっと笑う。
棺の前に座る阿切さんの読み上げる経が、静かになった居間に流れ始めた。
ただそれ以外はいつも通り。親しみやすい笑顔で村の人と挨拶を交わしながら、飄々と居間に座る人達の間を抜けていく。
阿切さんにとって昨日のことは、不思議なことではなかったのかな……?
俺からすれば初めての光景だったからこそ、考えずにはいられないし、忘れられるものでもない。
でも阿切さんに驚く様子はなかったし、何なら手慣れた感じがあった。
と言うことは少なくとも何回かは、あんな状況を前にしたことがあるんだろうか――?
その考えに行き着いて、ふと。あることを思い出す。
そう言えば阿切さんは、代々の中でもかなり強い霊能力者だって言われていたような……。
と、突然わざとらしい咳払いが聞こえる。正面に顔を上げると、白川さんが話を始めようとして皆の前に立っていた。
パツパツに張った喪服が、彼の体型を物語っている。
「えー。ではこれより横井吉蔵の通夜を執り行っていきます」
それに続いて息子さんが頭を下げ、お集まり頂きありがとうございますと、始まりの挨拶がされた。
そこにギリギリ間に合った莎菜達家族が、最後列に座る。しかしお父さんの姿はない。
受け付けを終えた智喜も来て、空いていた俺の隣に座った。
「お疲れ」
「サンキュ」
小声で労うと、智喜がにかっと笑う。
棺の前に座る阿切さんの読み上げる経が、静かになった居間に流れ始めた。

